コンパクトシティを考える(3)「縮退」は新しい発展戦略 2018/06/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「コンパクトシティを考える(3)「縮退」は新しい発展戦略」です。





縮退化政策を「過疎地域からの撤退戦略」と限定的に理解してしまうと、住民の不安と反発を招いて、建設的な議論は望めません。都市の縮退は新しい発展戦略であり、規模縮小を図りつつも質の高い成長と生活水準の向上を目指す方途だと理解すべきでしょう。

OECD(経済協力開発機構)の報告書「コンパクトシティ政策」(2012年)は縮退化を、環境を保全しつつ社会的公正の保たれた「グリーン成長」を実現する方途として位置づけています。この報告書は、コンパクト化のメリットとして3点挙げています。

第1は、環境とエネルギー効率性の改善です。移動距離が短縮するとともに、公共交通機関の充実で自動車依存度が低下し、二酸化炭素や大気汚染物質の排出が減少します。また、送配電網や地域冷暖房用熱導管などのインフラをより多くの企業・住民が共同利用することで利用効率を上げれば、エネルギー消費量を抑えることができます。

第2は、経済成長への寄与です。縮退化した都市では社会資本をコンパクトにしてインフラ費用を縮減できます。職住も近接し、労働生産性が上昇します。企業間・労働者間で相互作用の機会が増し、知識が共有され、成長が促されます。都市の主たる産業である対人サービス業には供給と消費が同時という特徴があり、人口密度が高いほど生産性が高まることも知られています(密度の経済)。

第3は、市民社会形成への寄与です。人口密度が高ければ、自発的な学習活動やスポーツ、文化などを通じた市民の交流、結社の結成が促されます。その管理運営を通じて市民の自治能力が高まり、信頼と互恵性を基礎に置くネットワーク(社会関係資本)を育み、成長に寄与するのです。

縮退化を「中心部VS周辺部」の利害対立に還元してしまうと合意形成は難しくなります。そうではなく、新しい経済機会の創出を通じて質の高い成長を目指すプロジェクトとして理解できないでしょうか。その成功によって生み出された果実を市民が公平に共有できる仕組みも必要でしょう。このように建設的に議論することが合意形成にとって決定的に重要なのです。



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