コンパクトシティを考える(4)強い所有権が都市再編阻む 2018/06/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「コンパクトシティを考える(4)強い所有権が都市再編阻む」です。





戦後日本の都市発展は、高度成長と人口集中に社会資本整備が追いつかず、過密や環境汚染に悩まされた過程でもありました。「ウサギ小屋」と呼ばれた狭小住宅、激しい通勤混雑、貧弱な公園・緑地……。これらの課題は依然として人々の実質的な生活水準に影響しています。ならば人口減少は、こうした積年の課題を解決し、生活水準を改善する機会として前向きに捉えられないでしょうか。

人口増加の時代は開発圧力が強く、地価も上昇するので、収益性の高い空間利用が選択されがちでした。結果として公園、緑地などの「もうからない」都市空間は極小化されました。

人口減少・低成長時代は開発圧力が弱まるので、様々な可能性が開けます。空き地・空き家を集約しつつ住宅区画を拡大し、より大きな居住空間にすることができます。人々が憩い、集うカフェなどの施設を配した広場を設けてもよいでしょう。緑地を増やし、歴史的建築や文化施設を生かしたまちづくりをするチャンスも出てくるでしょう。

とはいえ、放っておけば都市は「スポンジ化」するので、「都市空間の再編」が必要です。都市の外延は人口減少に応じて徐々に縮退しつつ、その内部でスポンジ化しつつある空間の利用を促す必要があります。ところがこれは「言うは易く行うは難し」の典型です。再編が進まない大きな要因に私的所有権の存在が挙げられます。例えば、空き家となっている隣地と自分の土地を統合して広い居住空間を実現したい、あるいは空き家を撤去して地区の人々が集う広場として整備したいと思っても、所有者が土地売買を拒否すれば一歩も前に進みません。

私有財産制は市場経済システムの根幹ですが、それが原因で都市のスポンジ化や荒廃を招くなら、再考が必要かもしれません。求められるのは、「所有が利用に優越する時代」から「利用が所有に優越する時代」への移行です。例えば「所有権」と「利用権」を分離し、利用権の移転を容易にする仕組みの創出、あるいは空き家の所有者に、地域の維持発展について住民と同等の責任を課す仕組みの創出、などを検討する必要があるかもしれません。



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