コンパクトシティを考える(6)富山市は公共交通沿線に誘導 2018/06/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「コンパクトシティを考える(6)富山市は公共交通沿線に誘導」です。





前回に述べた立地適正化計画の導入に影響を与えたと考えられるのが富山市の縮退政策です。その基本方針は、(1)一極集中ではなく多極的なコンパクト化を目指す(2)公共交通機関を充実させ、中心部や市内各拠点へのアクセスを向上させる(3)住民の居住地選択の自由を尊重し、集団移転などの強制的手法はとらない(4)中心部への移転は規制強化よりも誘導的手法を採用――などです。一見、緩い政策にみえますが、都市計画のコントロール力が弱い日本の実態を踏まえれば現実的で、着実に成果を上げうるアプローチだと考えます。

富山市の縮退政策の出発点はLRT(次世代型路面電車)を採用した2006年の富山ライトレール開業です。以後、同市は公共交通に積極的に投資して路線網を充実させてきました。また、富山地方鉄道やJR高山線の運行本数を増やしたり、列車の発着に合わせて路線バスを運行したりするなど乗客の利便性の向上にも力を入れてきました。

富山市が公共交通機関に注力するのは、一極集中ではなく、市内各拠点を生かした「多極型コンパクトシティ」を目指しているからです。市内の複数拠点を公共交通でしっかり結ぶことが、縮退する都市の一体性を保つうえで重要になります。輸送力が高く、定時性のあるLRTはこの目的に最適です。欧州では一般的になったLRTですが、日本でも「ネットワーク型コンパクトシティ」を掲げてLRT導入を目指す宇都宮市のような事例が出てきたことは注目に値します。

富山市の縮退政策の第2の特徴は、市中心部や拠点への住民の移住を、集落ごとの一斉移転や強制移転ではなく誘導的手法により実現しようとしている点です。具体的には、公共交通沿線の「居住推進地区」内に共同住宅を建設する事業者向けの補助や、戸建て・共同住宅を購入する市民向けの補助などがあります。

こうした政策の結果、居住推進地区の人口は、この政策が開始される05年時点の約11万8千人(総人口の約28%)から、16年には約15万5千人(同約37%)へと大きく増加しました。これは経済的インセンティブによる誘導手法が有効であることを示しています。



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