コンパクトシティを考える(9)「縮退」が固定資産税増やす 2018/07/03 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「コンパクトシティを考える(9)「縮退」が固定資産税増やす」です。





人口減少時代の都市経営はどうあるべきか、今後、すべての都市にとって一大課題となります。中長期的には高齢化と社会資本の老朽化で歳出は増加基調となります。これに対して人口減少が市町村の基幹税である住民税と固定資産税の税収に下落圧力を加えます。鎌倉市が2014年に行った財政シミュレーションでは、19年度に歳出が歳入を上回り、以後、その差は拡大していく見通しでした。

都市縮退化の戦略的な推進は2つの経路から都市経営に影響を与えます。第1に、社会資本の新設・更新を抑制し、歳出の増加要因を取り除きます。第2に、固定資産税収の増加を通じて歳入増に寄与します。

第2点について説明しましょう。日本の縮退化政策の先頭を走る富山市については前に紹介しました。実はその成果が地価上昇と固定資産税収の増加となって表れています。富山市では15年以降、4年連続で地価が上昇していますが、問題はその中身です。

18年の地価公示では市全体で平均0.2%の上昇に対し、富山駅と市内電車環状線周辺の複数地点では3~5%の上昇でした。地価上昇により18年度予算の固定資産税と都市計画税の税収は14年度から約8%増えています。両税は市税収の47%を占める基幹税です。

固定資産税は中心市街地のわずかな面積で大きな税収を生み出します。富山市の場合、市面積の5.8%の市街化区域から固定資産税と都市計画税の合計税収の75%を、さらに市面積のわずか0.4%の中心市街地から両税収の22%を得ています。つまり、縮退政策で中心市街地の魅力を高め、地価を維持することが、基幹税収を増やす上で決定的に重要なのです。

郊外大型店舗の誘致で一時的に固定資産税収が増えても、いずれ人口減少で閉鎖とならないでしょうか。郊外住宅開発で一時的に人口を増やしても、人口減少下では持続可能ではありません。何よりも郊外化は分散投資に他ならず、都市のエネルギーを拡散させて中心部の地価を押し下げる要因となります。縮退化にかじを切ることができず、郊外化を進める自治体は、その中長期的な費用と便益をよく勘案すべきでしょう。



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