サイバー防衛、師はイスラエル日本、五輪控え連携/AIなど高度技術 2 017/6/3 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「サイバー防衛、師はイスラエル日本、五輪控え連携/AIなど高度技術」です。





 世界を揺るがした5月12日の大規模サイバー攻撃。あらゆるモノがネットにつながるIoT時代のもろさが浮き彫りになった。東京五輪を控え日本が標的となる可能性が高まるなか、防衛力強化に日本政府が頼るのがイスラエルだ。人工知能(AI)など「戦場」で磨かれた高度な防御技術に期待が集まる。

情報戦の伝統

 世耕弘成経産相は5月上旬、エルサレムを訪れ、イスラエル政府とサイバー防衛での連携強化で合意した。サイバー連携での閣僚レベルの合意は初。イスラエル首相府国家サイバー局のエビアタル・マタニア局長によると、戦略的な協力関係を結ぶことができる国は米英などわずかという。

 英国、ブラジルでの五輪期間中にサイバー攻撃が急増したことで日本政府の危機感は強い。イスラエルの技術の源泉は国防だ。建国以来、近隣アラブ諸国と対立が絶えない。現代戦の要諦は情報収集で、建国からしばらくは盗聴など伝統的な手法が主だった。

 「2000年代に入りネットが中心になった」。国防軍8200部隊の元大尉で現在、投資会社グリロットを経営するコビー・サムボルスキー氏は語る。軍や情報機関が攻撃ソフトを開発し仕掛ける。その威力を世界に見せつけたのは10年に発覚したイランに対する攻撃だ。核施設が暴走し一部が無力化された。米国と共同開発したとされるサイバー兵器によるものだ。

 世界の情報セキュリティー業界に投じられる資金のうち16%が、世界人口の0.1%にすぎないイスラエルに集中する。セキュリティー企業は300社を超える。

軍出身者が起業

 高い技術力を支えるのが軍のサイバー部隊出身者らだ。軍は兵役義務を2年後に控えた16歳の国民から同隊員にふさわしい人材を探す。8200部隊の元司令官(准将)で投資会社チーム8の最高経営責任者、ナダブ・ザフリル氏は「トップ1%の人材がサイバー部隊にたどりつく」という。

 資金の潤沢な環境で技能を習得した隊員が退役後、セキュリティー会社を起業するケースが増えている。手口に精通していなければ技術は開発できず、部隊経験が生かせるからだ。

 注目を集めるのが人工知能(AI)だ。社会の隅々までネットにつながり人間の監視では限界がある。攻撃の予兆を察知するサービス会社、ケラグループの日本事業責任者、ドロン・レビット氏は「イスラエル軍にいるサイバー攻撃情報の分析官が持つ頭脳をAIで再現した」と話す。

 ウイルスの「遺伝子」情報を解析し、どんな種類も検知可能と豪語する企業もある。サイバーリーズンはAIで企業の情報システムの正常な状態を学び、逸脱した不審な動きを検出する。

 ヨッシー・ナール共同創業者は「情報システムに侵入したハッカーを発見できる」と語る。サイバーリーズンは5月19日、日本で身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の対策ソフトを無償提供すると発表。したたかにビジネスを広げようとしている。

(吉野次郎)



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