サウジ、誤算続き イランと断交1年 2017/1/5 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「サウジ、誤算続き イランと断交1年 」です。





 【ドバイ=久門武史】サウジアラビアが中東の覇権を争うイランと外交関係を断絶してから3日で1年が経過した。地域情勢でイランの影響力を抑え込む思惑とは裏腹に、サウジはむしろシリア内戦や原油減産などで不利な立場になる誤算が続く。中東の2大国の対立は解けず、地域の緊張が和らぐ兆しは乏しい。

 「将来も支援を続ける」。イランのロウハニ大統領は昨年12月31日、首都テヘランを訪れたシリアのムアレム外相に語りかけた。シリア内戦で親イランのアサド政権が北部の要衝アレッポを制圧したばかり。サウジが支えてきた反体制派は劣勢に追い込まれ、「アサド大統領の即時退陣」との訴えは現実味を失った。「サウジ外交の敗北」とアハラム政治戦略研究センター(エジプト)のエマド・ガッド研究員は指摘する。

 サウジには共同歩調をとってきたトルコの変化も痛手となった。エルドアン政権は昨夏のクーデター未遂を機に米国と距離を置きロシアに接近。イランとロシア、トルコは12月に外相会談を開き、シリア和平を主導する姿勢を打ち出した。

 イスラム教スンニ派のサウジは、シーア派のイランの影響力がイラクやシリア、レバノンばかりか隣国イエメンにまで及ぶのを警戒。昨年12月、サウジの裁判所は「イランのスパイ」として15人に死刑判決を下した。

 1年前のイランとの断交は、サウジが国内のシーア派指導者を処刑し、反発するイランの群衆がテヘランのサウジ大使館を襲撃したのが直接の引き金となった。断交に追随した国はわずかで「包囲網」は目立った成果を上げていない。

 イランには核合意による経済制裁解除という追い風が吹く。原油安の打撃はサウジの方が大きく、ムハンマド副皇太子の改革にも影を落としかねない。昨年11月の石油輸出国機構(OPEC)総会でイランに譲歩してまで減産合意にこぎ着け、原油安に歯止めを掛けた。4月の産油国会合ではイランの参加を求め合意を拒んでいたが「消耗戦」に先に音を上げたのはサウジだった。

 イエメンへの軍事介入もサウジの体力をむしばんでいる。イランがイエメンのシーア派武装組織「フーシ」を支援していると非難するが、サウジの作戦で民間人の犠牲が膨らみ、国際社会の視線は厳しさを増している。

 この1年で変化したサウジとイランの力関係を揺さぶる可能性があるのが、20日に米大統領に就任するトランプ氏だ。選挙戦で唱えた通りイラン核合意を破棄すれば、イランは再び苦境に陥る。

 一方でサウジがトランプ氏と直ちに親密な関係を築ける保証もない。中東の勢力図を左右する次期米政権の出方を「サウジもイランも読み切れずにいる」(外交関係者)。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です