サブリース、潜むリスク 契約途中で賃料減額など 2018/05/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「サブリース、潜むリスク 契約途中で賃料減額など」です。





不動産のサブリース(転貸借)契約を巡るトラブル相談が増えている。アパート経営などで普及しているが、リスクを伴う仕組みを十分に理解しないで締結する人も多い。同契約を使ったシェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営業者が破綻して社会問題にもなっており、不動産業者などの説明体制の強化を求める声も出ている。

(画像:国交省はサブリース契約書のひな型も改訂した(写真は国交省の注意喚起資料))

(田中浩司)

「ローンが返せなくならないか不安だ」。東京都内の40歳代の男性はため息を漏らす。70歳代の父親がアパート3棟を建て替え、不動産業者とサブリース契約を結んだ。業者に一括して借り上げてもらい、入居者にまた貸しする内容だ。

ところが建て替えから10年近くたち、入居者を確保していくため家賃の減額を求められる可能性が出てきたという。男性は建て替え時の借入金の連帯保証人になっており、賃料収入の目減りは死活問題になる。

「長期間借り上げる」「安定した家賃収入を保証する」などとうたう業者に勧誘され、銀行などから融資を受けてアパートを建設し、サブリース契約を結ぶケースが多い。国土交通省の登録業者の管理するサブリース物件戸数は2017年末で290万を超える。

業者から途中で家賃の減額やそれに応じなければ解約をすると迫られ、建設した際の借入金の返済に行き詰まるのがトラブルの典型例だ。消費者庁によると、全国の消費生活センターなどに寄せられたサブリースをめぐる相談は17年度は361件と3年連続で増えた。

アパート経営は経済状況などで入居率が悪くなったり家賃相場が下がったりする影響から逃れられない。老朽化した建物の修繕対応も欠かせないが、ここにトラブルの種が潜む。

業者が示す契約内容には、一定期間アパートを借り上げ、賃料を保証するとしつつ、同時にその期間中の賃料の減額請求ができるといった条項が入っている場合が多い。業者がリスクを背負わないようにしているためだが、物件の所有者はその点を十分に把握していないケースもある。

そもそも日本の法律では個人の所有者が業者に対して弱い立場に置かれることは注目点だ。

実はサブリースを直接規制する法律は存在しない。民法が定める賃貸借契約の一形態として、通常の不動産賃貸借と同じく借地借家法が適用されるにすぎない。サブリース被害対策弁護団の三浦直樹弁護士は「借地借家法をそのまま当てはめると所有者の保護に問題が生じる」と指摘する。

借地借家法は一般に貸主よりも立場が弱い土地や建物の借り手を守る法律だ。サブリースの関係図でみると、個人の所有者に対して借り手は業者だ。同法が定める賃料減額請求権を業者が行使できるわけだ。

契約書に減額請求などの条項がなくても、業者の要請で家賃が引き下げられる例もある。「専門家である業者を保護する『ねじれ』が起きている」と三浦氏は説く。

例えば遊休地を持つ地主が業者から「相続税対策になる」と誘われ、サブリース用のアパートを建てたものの、思うような賃料収入が得られないケース。三浦氏は「地主は貸し手ではあるが業者に比べると明らかに契約弱者ではないか」と主張する。

不動産法制に詳しい吉田修平弁護士は「民法や借地借家法にサブリースの規定の整備を検討すべきだ」と指摘する。日本弁護士連合会は2月、サブリースを前提とするアパートなどの建築勧誘の規制強化を求める意見書を公表した。

ただ現状では何より賃料収入の減少や法的な立場の弱さなどのリスクを理解するのがトラブル回避の第一歩だ。

国交省はサブリースを手掛ける登録業者に対する告示で、18年7月から契約前に将来賃料が変動することなどを書面で示し、重要事項として説明する実務経験者の設置を義務付ける。3月にはサブリース契約書のひな型も改訂した。のちにトラブルを招きがちな賃料改定日や解約できない期間を明記する。

不動産業界はサブリース契約を結ぶ際、所有者側に丁寧に説明する姿勢が求められる。東京都内を中心に約100件のサブリース物件を手掛ける不動産業者、ウッドホーム(東京・渋谷)の木村聡社長は「市場の発展には所有者側と緊密な意思疎通を図り、契約締結時にリスクの分担を明確にできる関係づくりが重要だ」と話す。



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