シェアエコノミーとルール(上) 広がる新ビジネス 日本流規制が壁に 2016/05/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「シェアエコノミーとルール(上) 広がる新ビジネス 日本流規制が壁に」です。





 自動車・空き部屋の貸し借りや、小口の資金調達などをインターネットで仲介する「シェアリングエコノミー」が世界中で急拡大している。IT(情報技術)発達で可能になった新ビジネスに、日本の法や規制が壁として立ちはだかる。企業活動や市民生活の効率化には、新たなルールをつくる工夫と決断が必要だ。

カーシェア仲介サービス「Anyca」を利用し、車の所有者(左)から鍵を受け取る(東京・丸の内)

 5月の週末、東京・丸の内で2人の男性が落ち合った。「キーを渡します」「長野までドライブします」。ディー・エヌ・エー(DeNA)のカーシェア仲介サービス「Anyca(エニカ)」に登録した車のオーナーと利用者。スマートフォン(スマホ)の専用アプリで直接交渉した。

「非営利」が条件

 2006年の道路運送法改正で自家用車の共同使用の許可制が撤廃、昨年9月に始まった。ただし法が認めるのは「非営利」。車の使用料が高すぎるとレンタカー事業とみられかねず、自由な値付けはできない。同社は「使用料を一定水準以下に設定するようオーナーにお願いしている」。

 車のシェアはシェアエコノミーのけん引役だ。トヨタ自動車が資本・業務提携を決めた米ウーバーテクノロジーズはスマホで配車するライドシェア(相乗り)サービスを70カ国・地域で展開する。しかし日本では自家用車の有償運送は原則禁止。過疎地の特例事業が26日、京都府京丹後市で始まったにすぎない。

 マンションの空き部屋などに旅行者を有料で泊める「民泊」のネット仲介を世界約200万室で手掛ける米エアビーアンドビー(Airbnb)。日本で登録された3万室超は法的に課題がある。

 大半は、旅館業法で定める「簡易宿所」の営業許可を得ていない。国家戦略特区の東京都大田区と大阪府では許可が不要なものの、要件は「6泊7日以上」に限られる。

既存業界を保護

 訪日外国人増加で政府は新法制定を検討する。ホテル・旅館業界は「営業日数を年30日以内に制限すべきだ」と抵抗。政府の規制改革会議は今月19日、年180日まで認めるとしたが、民泊事業者らは「これではサービスは拡大できない」(民泊協会の高橋延明代表理事)とため息をつく。

 ビジネスの魅力をそぐルールもある。ネットを通じて個人や中小企業が資金を融通し合うクラウドファンディング。ファンドで集めた資金を企業に融資するmaneo(東京・千代田)の滝本憲治代表取締役は「企業名を公表できないので関心を得にくい」と話す。

 金融法に詳しい増島雅和弁護士は「投資家が資金回収に直接乗り出すなどトラブルを防ぎたい当局の意向が強い。企業名の明示を認めれば市場を拡大できる」と話す。

 米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、シェアエコノミーの全世界の市場規模は13年に150億ドル(当時約1兆4千億円)。日本は14年度で約230億円(矢野経済研究所調べ)にとどまる。

 既存業界の保護に軸足を置いた規制は新ビジネスの芽を摘み取る。グーグル、ヤフーなどが加盟するアジアインターネット日本連盟の杉原佳尭幹事長は「安全性などに問題がある業者は規制で縛るのではなく、消費者の評価で自然淘汰させるべきだ」と是正を訴える。



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