シェール対抗、砂上の合意 かりそめの産油国同盟 2016/12/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「シェール対抗、砂上の合意 かりそめの産油国同盟」です。





 石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC。対立を超えて歩み寄った産油国の減産合意は相場の急反発をもたらした。だが、かりそめの同盟が長続きする保証はない。石油市場の主導権をめぐるシェールオイルとの攻防が決着していないからだ。

10日、ウィーンで記者会見するOPECのサダ議長(中央)とロシア、サウジアラビアの担当相=ロイター

 原油安の引き金を引いたのはOPECの盟主であるサウジアラビアだ。供給過剰がはっきりしてきた2014年11月、OPEC総会は減産を見送った。

 サウジが減産しても、米国で急増するシェールオイルがその分を埋めてしまう。それなら市場シェアを守ったほうがいい。サウジの判断を受けて、産油国は歯止めのない増産競争に突入した。

 中東産原油に比べて生産コストの高いシェールオイルは原油価格が下がればいずれ生産できなくなる。こう考えたサウジの狙いは外れた。シェール生産の技術革新が進み、採算ラインが急速に下がったからだ。

 一方、シェールとの我慢比べは重い代償が伴った。原油輸出に歳入を依存するサウジ財政は悪化し、ロシアはマイナス成長に転落した。ロシアやイランはシリアのアサド政権を支援する。サウジが支援する反体制派と代理戦争を戦うが、「サウジもロシアも我慢の限界に来ていた」。住友商事グローバルリサーチの高井裕之社長は言う。

 歩み寄る機会がなかったわけではない。ロシアやサウジなど主要産油国が4月にカタールで開いた会合は増産凍結で合意するとみられていたが、土壇場で破談になった。敵対するイランが加わらない合意をサウジの実力者であるムハンマド副皇太子が拒否したためとされる。

 サウジでは石油相を中心とする実務家が石油政策を仕切り、実際の決定権を持つ王族が表に出ることはなかった。エネルギー関係者は慣例が崩れたことに王族主導への政策変更を感じ取った。

 ムハンマド副皇太子は「20年までに石油依存を脱却する」として非石油部門の育成など大胆な社会・経済改革を進める。高井社長は「今回の減産合意も価格立て直しを自らの権力基盤の強化に利用したい副皇太子の政治的な意向が働いているのではないか」と見る。

 思惑通りにいくかどうかは見通せない。シェールオイルは価格が上がれば再び生産量が増えて価格への下げ圧力となる。

 石油資源開発の渡辺修会長は「原油価格の下限はOPECが、上限をシェールオイルが決める仕組みが原油市場に組み込まれた」と指摘する。シェールオイルの供給が増えた時、産油国が減産を守り続けるのか。合意は危ういバランスのうえにある。

(編集委員 松尾博文)



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