シンガポール「建国の父」遺言が火種 リー家の争い表面化 2017/6 /14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「シンガポール「建国の父」遺言が火種 リー家の争い表面化」です。





 【シンガポール=中野貴司】シンガポールのリー・シェンロン首相が、父親である故リー・クアンユー初代首相の遺言を巡り、弟や妹と激しく対立している。14日には父親の遺産を政治利用しようとしていると主張した弟らに対して、即座に反論した。シンガポールはこれまで公平な競争と実力主義を掲げてきただけに、異例の公開論争が長引けば国内外の評価に影響を及ぼしかねない。

 リー首相の弟であるリー・シェンヤン氏と妹のリー・ウェイリン氏は14日、リー首相夫妻の行動が父の遺言に反していると指摘した上で、首相がその地位と影響力を誤用していると批判。首相は息子のために政治的な野心を抱いているとも述べた。シェンヤン氏はさらに「父親がつくった愛する国を近い将来、去ることになる」と表明した。

 これに対し、リー首相は休暇中にもかかわらずフェイスブックを使って即座に反論。「私が息子のために政治的な野心を抱いているといったばかげた主張を否定する」として、「今後も国民のために仕事をし、社会の基礎である実力主義を維持する」と強調した。

 「建国の父」と敬われたリー・クアンユー氏が2015年に死去した後、3人の子供は、「(自分の)死後は住居を保存すべきではない」とのクアンユー氏の遺言を巡り激しく対立。弟と妹はリー現首相が父親の遺産を保存することで政治的な権力の源泉にしようとしているなどと主張してきた。14日に弟と妹側が、6ページにわたる声明を公表し、対立はいよいよ覆い隠せなくなった。

 リー家の私的な争いが表面化することで、懸念されるのが社会の動揺だ。経済成長が鈍化する中で、外国人が不動産価格を高騰させ、雇用を奪っているとの不満は根強い。公平な競争環境の中で、努力すれば成功できるという価値観は国是となってきただけに、その点が揺らげば国民の不満が高まる可能性がある。

 リー首相は父親の遺志を継いで、建国から50年強の歴史の浅い国の一体感の保持に努めてきた。こうした批判があまり表に出てこなかった中で、身内からの違和の表明にうまく対処できるかは、政権の求心力を左右することにもなる。



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