シンゾウとの距離(4)石破茂モノ言い強める無役 2017/7/17 本 日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「シンゾウとの距離(4)石破茂モノ言い強める無役」です。





 東京都議選が投開票された2日の夜。前地方創生相の石破茂(60)は鳥取市の自宅でテレビを見ていた。「やっぱりな」。午後8時に始まったテレビの開票速報は、自民党の獲得議席が過去最低の38を下回る予想を伝えていた。

石破氏は講演やテレビ出演で露出を高める

メディア積極露出

 選挙期間中、連日のように都内で街頭演説に立った。聴衆からヤジを受けることも多く、自民党への猛烈な逆風を肌で感じた。開票前に首相の安倍晋三(62)が財務相の麻生太郎(76)らとフランス料理店で食事していたことを知ると「党の公認候補が当選を祈っている時に高級フレンチか。これでは候補者が立つ瀬がないな」。憤りを覚えた。

 昨年8月の内閣改造で閣外に出る道を選んだ石破。安倍とはこの時に電話で入閣を固辞して以来、一度も話をしていない。

 「政権中枢と近い方がポストは得られることはわかりきっている。でも、いざという時に俺がモノを言わなかったら自民党はどうなるんだ」。優等生のようでおもしろみに欠けるとの見方も永田町に多いが、都議選ショックを受け徐々にカジを切り始めた。都議選後の10日間で受けた新聞やテレビの取材は10を超え、露出作戦を強める。

 無役は自由な半面、世間の注目度が下がる悲哀も味わう。テレビの出演料や講演料で構成される「雑所得」は2016年で548万円と前年の4割程度の水準に落ち込んだ。

 12年の自民党総裁選の決選投票で安倍に負けた時点では、党内の誰もが石破を「ポスト安倍」の最右翼とみた。石破派はいま19人。身内を数えると、18年9月に見込む総裁選で、出馬に必要な20人の推薦人を確保できるかはぎりぎりだ。

 石破はどんな戦術を描くのか。

改憲で全面対決

 「総理と全面対決だ」と息巻くのが憲法改正だ。安倍は9条の1項と2項を維持したまま自衛隊を憲法に明記する案を提起。石破は、戦力不保持を定めた2項の規定と矛盾すると指摘するが、首相提案への反対論は党内で広がらない。「多くの人がおかしいと思っているのに、総裁の意図がそこにないと思って何も言わない」

 石破は「戦争で大変な思いをした人たちがいる間に改正したい」と早期の改憲そのものには賛成の立場をとる。問題視するのは「20年に新憲法施行」との日程が先行する議論だ。

 機運が高まった今を逃せば改憲は永遠にできなくなるかもしれないとのジレンマも抱える。安倍との徹底抗戦を進言する周囲の言葉に「これ以上、どう声高に主張すればいいんだ」とこぼす。

 地方行脚も続ける。12年の総裁選では地方票で安倍を上回った。だが4年以上も安倍政権が続くと、地方の支持も安倍になびく。「第1次政権の退陣後、安倍さんは半ば謹慎状態で露出度が低かった。だから地方票で上回れたが、5年前と今ではまったく環境が違う」と周囲に漏らす。

 石破が「ポスト安倍」を射止めるには、まず安倍批判層の受け皿にならないといけない。だが徹底した安倍批判の戦術は嫌う。「3選の阻止なんてしない。安倍さんがやるべきことをきちんとやってくれるならそれで良いんだ」。次の総裁選へ勝機を探るが、安倍との違いを明確に自分の政策の旗印を掲げて「安倍降ろし」を仕掛けるわけではない。

 アベノミクスに警鐘を鳴らす財政規律派の勉強会に参加するなど首相官邸をけん制する動きはみせる。党内には「中途半端で評論家的な言動」と冷ややかな見方もある。無役の戦いは「出口」が見えないままだ。

(敬称略)



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