シンゾウとの距離(7)二階俊博あうんの呼吸、いつまで 2017/7/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の政治面にある「シンゾウとの距離(7)二階俊博あうんの呼吸、いつまで」です。





 18日夜、自民党幹事長の二階俊博(78)は滞在先のワシントンのホテルの自室に駐米中国大使の崔天凱を招き入れた。崔は米中経済対話で多忙な時期だったが、二階の訪米を聞いて駆けつけた。「長年の日中関係における尽力に敬服する」。5月に国家主席の習近平との会談を実現した二階の仕事ぶりをこう評した。二階は大きくうなずいた。

18日、ワシントンで崔天凱駐米中国大使(左)と会談する二階氏=共同

 内閣改造を2週間後に控える中、党の要である幹事長が日本を不在にできるのはなぜか。答えを解くカギは自民党が惨敗した都議選直後の4日にある。

 「新しい課題に対応していきましょう」。首相の安倍晋三(62)は首相官邸を訪ねた二階に語りかけた。昼食を交えた2人だけの会談は約50分。子細は明かさないが「あの会談で幹事長続投が決まった」というのが大方の見立てだ。

「百戦錬磨」の腕力

 本来なら党執行部の責任問題に発展してもおかしくない都議選惨敗だったが、県議出身の二階は早い段階からこう語っていた。「県議選を党本部にやってもらったことはない。候補者や都連が努力しなきゃ」。敗戦必至とみて党執行部や首相官邸には矛先が向かないよう布石を打つための発言でもあった。

 二階と安倍との間で都議選への対応をじっくり打ち合わせたフシはない。定期的に首相官邸を訪ねる際にも細かい選挙や国会への対応で二階が指示を仰いだこともない。「あうんの呼吸だ。細かいことは相談しなくても分かる」。二階は周囲にこう語る。

 昨年8月の幹事長就任後、二階の存在感を高めたのはまさにこの「あうんの呼吸」だった。就任早々に安倍の総裁3選を可能にする党則改正をぶちあげ、電光石火で党内論議をとりまとめた。二階は「総理にはもっと感謝してもらわんとな」と満足げに語る。

 安倍は自身に思想信条が近い「お友達」で周囲を固めたい気持ちがある一方、二階や官房長官の菅義偉(68)といった異なるタイプの政治家を高く評価する。安倍はことあるごとに「百戦錬磨、自民党で最も政治的技術を持っている」と二階を持ち上げ、二階も「ポスト安倍は安倍」と長期政権を支える立場を徹底してきた。

 安倍が悲願とする憲法改正はこの秋、大きなヤマ場を迎える。臨時国会までに党独自の改憲案をまとめると宣言したからだ。実現できなければ自らの求心力低下につながりかねない。それをまとめるには「あうん」の関係をもつ二階の腕力が不可欠になる。

時にあつれきも

 ただその腕力は時にあつれきを生む。二階が狙った無所属で自らの派閥に所属する衆院議員、長崎幸太郎(48)の復党問題。先週になって突如「今の執行部のうちに一定の結論を出したい」と党紀委員長を務める山東昭子(75)をけしかけた。書面提出で多数決にかける強行突破を試みた。

 しかし、18人の委員のうち、二階の意向に沿って復党に賛成したのは6人。しかも5人は民間人で、国会議員での賛成は自派の河村建夫(74)だけ。二階は「党人事後の次の体制で審議する」となお執念をみせるが、党内からは「派閥を拡大するために幹事長のポストを使っているだけだ」との不満も表面化する。

 「安倍1強」への逆風が強まる中、来年9月には党総裁選、年末には衆院議員の任期満了が控える。「衆院解散は総理の権限ですが、選挙は1人でできますか」。衆院解散風が吹いた3月中旬、二階は安倍にこうクギを刺したことがある。安倍と二階。あうんの関係は緊張関係の裏返しでもある。

(敬称略)

=おわり



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