スクランブル 「別格」日本株に迫る影 世界の火種に目配り必要 証券部 川上穣 2015/08/08 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 「別格」日本株に迫る影 世界の火種に目配り必要 証券部 川上穣」です。





 日本株の底堅さが際立ってきた。7日の日経平均株価は前日の欧米株の下落をはね返して3日続伸した。良好な企業業績を映し、市場には「日本株は別格」のムードさえ漂う。だが、米国株や新興国株の変調など密接につながる世界の市場には火種が垣間見える。米国の利上げの行方次第では投資マネーのリスク回避を誘発しかねず、日本株の強気シナリオも盤石ではない。

 7日は午後に雰囲気が一変した。前日の米国株安で午前は日経平均が100円近く下げたが、円安・ドル高が進んだ午後に押し目買いが活発になった。中国株の上昇という援護射撃はあったものの、好業績銘柄や大型株の個別物色で切り返す様は、日本株の強さを再確認させる動きだった。

 実際、日本株優位はデータに表れている。調査会社EPFRグローバルによると、日本株ファンドは8月初旬まで10週連続の資金流入超となっている。約2年ぶりの連続記録という。EPFRは「4~6月の好業績が日本株の魅力を一段と高めた」と分析する。

 6月に付けた年初来高値(2万0868円)の更新も視野に入る日経平均だが、外部環境に目を向けると気がかりな動きが少なくない。あちらこちらでリスクオフを引き起こしかねない警戒すべき「節目」に絡んだ動きがちらつくのだ。

 たとえば世界最大の時価総額を誇るアップル。株価は直近高値を付けた5月下旬から1割超水準を切り下げ、年初来でマイナス圏入りが迫っている。北米に次ぐ収益源の中国で「iPhone(アイフォーン)」の販売ペースが鈍るとの懸念が背景にある。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「部品を供給する村田製作所や日東電工の株価の下押し材料になっている」と指摘する。アップル株は世界の機関投資家が保有する中核銘柄。株価が一段安になればリスク回避の引き金になりかねない。

 米ダウ工業株30種平均を追うように、新興国の株式市場全体の動向を映す「MSCI新興国指数」も最近、昨年末の水準を割り込んだ。中国株は急落後もなお年初来でプラスを維持しているが、他の新興国の調整が深まっている。

 ニューヨーク原油先物が1バレル45ドルの節目を割り込んだのもきな臭い。3月に今年最安の水準である43ドル台まで下げた際には、ロシアなど産油国通貨や先進国のエネルギー企業の株価が急落し、世界的にリスクオフが広がった。

 こうしたじわりと広がるリスク回避の波が日本株に及ぶ恐れはないのか。みずほ証券の菊地正俊氏は米国株や原油の下落が続くようだと、「世界景気の落ち込みは深刻だ」との見方が拡散しかねないとする。実際に日本株に投資している海外勢の間でも、「マネーのリスクオフに備え始めた投資家も出ている」という。

 一連の異変をたどっていけば、中国経済の減速と米国の利上げ観測に行き着く。7日発表の米雇用統計は年内利上げを後押しする底堅い内容となった。二大経済圏を「震源地」とするリスクオフの波をかわして、企業業績や国内景気など日本固有のプラス材料でどこまで株式相場を押し上げられるか。積み重なる「外憂」をみる限り、その賞味期限はさほど長くはないようにも見える。



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