スクランブル 「日銀買い」効果2500円 流動性低下など副作用も 2015/08/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 「日銀買い」効果2500円 流動性低下など副作用も」です。





 8月相場入りした3日の東京株式市場。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の合意先送りなどを受けて日経平均株価は大幅安で始まったが、結局は37円安まで盛り返した。堅調相場の背景として企業業績の改善期待に加え、「日銀買い」の効果を指摘する向きが多い。市場ではアベノミクス相場以降、日銀の金融緩和による日経平均の押し上げ効果が2500円にのぼるとの試算もでてきた。さてその功罪はいかに。

 3日は日経平均が一時約190円下げる中、逆行高を演じた銘柄群がある。一時2%高の明電舎、同4%高のTDK、2%高のアルプス電気だ。好決算のTDKはともかく、明電舎は前週末に2015年4~6月期決算が営業赤字だったと発表。当然、売りで入ると思われたが、終始底堅い値動きだった。

 これらの企業の共通項は日銀が「実質大株主」だ。日銀は昨年秋のサプライズ緩和以降、上場投資信託(ETF)買いを拡大している。ETFを購入すると、運用会社が現物株を買うため、日銀が直接買うのと同様な効果がある。例えばTDK株なら4%程度を握る大株主(市場推計)になっている計算になる。

 3日も日銀はETFを324億円買ったと発表。直近でも7月24日から4営業日連続で購入した。従来は午前に東証株価指数(TOPIX)が1%下げると買うとされていた。だが29日は午前が0.1%安でも買っており、明らかに買いピッチは速まった。先物トレーダーの中川祐治氏は「割高感があると思っても日銀買いがあるので売りから入りにくい」と嘆く。

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 アベノミクス相場で日銀マネーが果たした役割は大きい。野田佳彦前首相が衆院解散を宣言した12年11月を起点とすると先週末まで日経平均は1万1921円上昇。ニッセイ基礎研究所がこれを要因別に分解したところ、まず大きいのが企業の業績改善。採用銘柄の1株利益が約9割膨らみ、これが日経平均を9408円押し上げたと試算した。

 もう一つは緩和効果。「市場の業績拡大、脱デフレ期待に働きかける」(ニッセイ基礎研の井出真吾氏)ことで、成長期待を表すPER(株価収益率)が13倍台から16倍台に上昇し、2513円分押し上げた。円安による業績押し上げも含めると、緩和の効果はもっと大きい可能性がある。

 日銀保有のETFは推定時価が8兆6000億円。00年代前半の銀行保有株買い取りも含めると保有時価は10兆円を超え、日本株の2%弱を保有する計算だ。

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 株価下支えへの期待は強い半面、価格形成の機能が低下する問題点はつきまとう。日銀は買ったまま売らないため市場で流通する株が減り、「固定株が多い銘柄は流動性が下がり、価格形成がゆがむ」(松井証券の窪田朋一郎氏)。

 「出口」戦略への懸念もある。将来、償還される国債とは違い株式は売らない限り、バランスシートに残る。売りに転じれば株価の下押し要因となり「塩漬け」ならば長期にわたり流動性が下がる。時価10兆円の日銀保有株。副作用に目配りが必要だ。

(藤原隆人)



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