スクランブル 「為替離れ」進む日本株 海外勢手控え 自立へ契機 2016/06/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 「為替離れ」進む日本株 海外勢手控え 自立へ契機」です。





 相変わらず商いが盛り上がらない日本株市場で、相場の潮目の変化を感じさせる現象が起きている。2012年秋に始まったアベノミクス相場で顕著だった円相場と株価の連動性が急速に薄れているのだ。8日も一時1ドル=106円台まで円高・ドル安が進んだが、日経平均株価は意外な粘り腰をみせた。為替離れが進む日本株には何が待っているのか。

 円安が進めば輸出比率が高い日本企業の業績を押し上げるから株価は上昇し、その逆もしかり。円相場と日本株の動きが連動するのは当たり前に聞こえるが、実は両者の相関性は局面によって異なる。関係を確かめるにはドル円相場と日経平均をドット(点)にして並べるのが手っ取り早い。

 アベノミクス相場の起点である12年11月から現在までの期間を調べると、この点はおおむね右肩上がりの直線に沿ってきれいに並ぶ。これはドル円相場の水準に応じ日経平均の水準が一義的に決まっていたことを意味する。0から1の範囲で動く「決定係数」は0.93。統計学では円相場で日経平均の動きの93%を説明できたことを示す。

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 本来、円相場と日経平均の連動性はそこまで高くなかった。1999年からアベノミクス開始直前の期間は決定係数が0.19にすぎず、円相場と日経平均はあまり連動していない。

 アベノミクス相場ではなぜ為替と株価がきれいに連動していたのだろうか。

 一番納得がいく説明は、両者を同時に売買していた投資主体の存在だ。それは海外投資家だが、海外勢も多種多様。円と日本株を同時に売買していた主体は2つのタイプになる。

 1つ目はグローバルマクロ系のヘッジファンドだ。

 マクロ経済政策の動向を先読みし、先物やオプションを使って為替や株を一方向に売買する。彼らによる日銀緩和を受けた円売り・日本株買いの「アベトレード」はアベノミクス相場の最大のけん引役となった。

 2つ目の主体は為替ヘッジ付きで日本株を買う投資家だ。日本株を買うと同時に通貨先物で円を売り、為替変動の影響を回避する。日本株の上げ下げに沿って円の持ち高を調整するため、円相場と株価が連動する大きな原因となる。

 両者の連動性が崩れたのは最近のことだ。4月からの円相場と日経平均の分布をみると相関性が薄れたことは一目瞭然だ。海外勢の日本株売りに伴って、円相場と株価をひも付けていた2つの海外マネーがいなくなったからだ。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏は「特に5月から連動が大きく崩れており、円相場と日本株の相関モデルを使ってトレードしていた投資家は売買を停止せざるを得なくなっている」という。裏返せば円安がけん引した日本株上昇というアベノミクス相場は終わったということなのだろう。

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 だが悲観することはない。「ようやく森の動きに邪魔されずに木を見て日本株に投資ができる局面が来たということ」。野村証券の幹部はいう。森は不透明な世界経済で、木は企業業績のことだ。日本株の為替離れが起きた今は、市場が自立する契機にもなる。

(証券部次長 川崎健)



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