スクランブル 「理想より実力」見極め 投資家、財務戦略・決算を重視 2015/07/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 「理想より実力」見極め 投資家、財務戦略・決算を重視」です。





 ギリシャ情勢は混迷を深め、中国株も不安定な動きが続く。株式市場を取り巻く外部環境への楽観が一変し、投資家の目線は厳しさを増す。企業統治改革に期待した「理想買い」の局面は株主総会で一巡し、本当に実力を高めた企業を選別する色彩が強まってきた。

 全面安の6日の市場で、ひときわ下げが目立ったのが3日に公募増資を発表した東ソーだ。11%安と希薄化分の約8%を上回って下げた。「総合化学で2番目に財務内容が良いのに増資が必要なのか」(バークレイズ証券の山田幹也アナリスト)などと、疑問の声が噴出したのだ。

 東ソーの自己資本比率は6年前に20%まで落ち込んだが、その後の利益の積み上げで38%まで回復してきた。一方で、今期の年間配当は前期と同じ10円を予定し、配当性向は14%どまり。還元ブームの中で引き上げ余地は大きそう――。こんな株主配分の拡大期待を先回りして織り込む形で株価は堅調だったが、正反対の財務戦略である増資が出てきて、期待がはげ落ちたわけだ。

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 日経平均株価を2万円まで押し上げたのは、海外投資家の日本企業の変革への期待だった。実際、自己資本利益率(ROE)を目標に掲げる企業が増え、株主還元も増えてきた。

 もっとも、期待が先走りした面は否めない。株主総会が終わり、今後は「きちんと実績を示せるかどうかで銘柄の取捨選択が始まる」(三井住友アセットマネジメントの小林洋シニアファンドマネージャー)。

 その第一関門が7月下旬から本格化する2015年4~6月期決算発表だ。証券アナリストらは内容の事前予想に力を入れ、投資家は保有すべき銘柄を探そうと目を凝らす。

 6日は堀場製作所が2%高と逆行高を演じた。ゴールドマン・サックス証券は「4~6月期の業績が会社計画に対して上振れ、15年12月期通期の会社計画も上方修正含み」などと指摘した。ここ2週間、アナリスト予想に株価が敏感に反応する例が多く、JVCケンウッドや東洋紡など、大幅安となる銘柄も目立った。

 上場企業全体のROEは前期で8%強と、海外の機関投資家などが求めるとされる水準になってきた。ここから、さらに有望な銘柄を絞り込むため、利益の「質」に着目する市場関係者も増えた。

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 SMBC日興証券は会計上の利益と現金収支の差に注目する。「アクルーアル」と呼び、2つの差が小さいほど現金の裏付けを伴った良質な利益であることを意味する。00年以降のデータでみると、アクルーアルが小さい企業ほど「会社計画に対して業績が上振れしやすい」という。

 スズキは、社長交代とともに発表した中期経営計画が力不足とみられ、翌日の株が売られた。市場は、控えめな目標は自信のなさの表れと受け止める。東芝の不適切会計問題も影を落とす。銘柄選別の物差しは、どんどん厳しくなっている。

(松崎雄典)



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