スクランブル 上値阻む「割安のわな」 マネーは成長株に集中 2016/03/30 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 上値阻む「割安のわな」 マネーは成長株に集中」です。





 日経平均株価の上値が重い。29日は3営業日ぶりに反落した。積極的な買いが入らないのは、業績の下振れリスクが意識されているからだ。相場が膠着するなか、割安株がそのまま放置される「バリュートラップ(割安のわな)」の警戒感も高まる。投資マネーは押し出されるように、一部の成長(グロース)株に向かっている。

 29日は金融株の下げが目立った。東証第1部の売買代金は連日で2兆円を割り込み、証券株は全面安。銀行株もみずほフィナンシャルグループが2%安など軒並み安くなった。

□   □

 日銀のマイナス金利政策で長期金利が低下し、大手銀は利ざやの縮小が避けられない。みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「来期業績は10%減益まで落ち込んでもおかしくない」と収益の先行き不安が株安の主因とみる。

 三井物産など2月は好調だった大手商社株も資源関連の巨額損失を計上するに至り株価は浮揚力を失った。

 大手の銀行や商社株に共通するのは株価が割安圏にあるという事実だ。投資指標であるPBR(株価純資産倍率)はいずれも解散価値の1倍を大幅に割り込む0.5~0.6倍まで下がった。株価反転への期待が高まっても不思議ではない水準だが、来期業績への懸念が頭をもたげる。世界景気の減速と円高に直面する自動車株も「バリュートラップにはまっている」との指摘は多い。

 割安株の不振はデータが裏付ける。SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストの分析によると、低PBR銘柄の値動きは低調だ。伊藤氏は「バリュー株は昨年から低調な場面があったが、今回は業績悪化が根っこにあるだけにより深刻だ」と警戒する。

□   □

 大型の主力株が苦戦するなか、マネーはどこに向かっているのか。三井住友アセットマネジメントの上村孝広シニアファンドマネージャーは「こんな時でも安定して収益を拡大するグロース株は買い安心感が強い」と話す。特に市場で注目されているのがヘルスケアや小売りなど新興国の内需から恩恵を受ける企業だ。

 29日も中国やタイで自社製品が伸びるライオンが昨年来高値を更新。中国で稼ぐエムスリー株も続伸した。さらにグロース株の代表格ともいえるヨネックス株は年初からの上昇率が4割を超える。バドミントンブームに沸く中国では中間層が厚みを増し「中高価格帯の用品販売が好調だ」(IR課)。PBRは3倍だが、株高の勢いは衰えていない。

 「中国でも2ケタ成長が続くサービス産業は心配していない」。先週来日した投資会社ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)も新興国の内需は成長のフロンティアであると強調していた。

 株式市場で鮮明になる成長企業の優位。だが中小型を軸にしたグロース株が、大型株も多いバリュー株の低迷を補うだけの力はない。買われる銘柄が偏るマネーの一極集中は、買える材料に乏しい市場の苦境を浮き立たせているようだ。

(川上穣)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です