スクランブル 不動産、中国リスクの影 富裕層マネーの退潮懸念 2015/07/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 不動産、中国リスクの影 富裕層マネーの退潮懸念」です。





 朝安後、大きく買い戻された9日の東京株式市場。乱高下する上海株相場に引きずられる日本株の動きは改めて「中国リスク」を市場関係者に意識させた。中国からの観光客の需要減退を懸念する見方が広がるなかで、もう一つ、気になる問題がある。中国マネーが席巻する不動産市場と不動産株だ。

 「日本のインバウンド需要はどうなるのか」

 クレディ・スイス証券の日本株デスクには9日も海外投資家からの問い合わせが相次いだ。「外国人が売買できない中国株の代替として日本株の先物が売られている。日本の強いファンダメンタルは変わらないのに」。バジリアス・ダン氏はもどかしげだ。

 日本株のトレーダーは終日、上海株の動向に振り回された。日経平均は一時600円超下げる場面があったが、その後上海株の上昇につれて反発して引けた。

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 中国関連株の値動きは荒々しい。中国人観光客が買い物に訪れるラオックスの株価は一時15%安と急落後、午後にかけて買い戻され、結局2%安で引けた。インバウンド関連銘柄に詳しい野村証券の広兼賢治アナリストは「上海株の急落で『爆買い』が鈍る可能性がある」と危惧する。

 実は、もっと影響が懸念されそうな市場がもう一つある。中国マネーが流れ込む不動産だ。

 「いい物件があれば、日本で8000万円ぐらいのマンションを買いたい」

 40歳代の上海在住の女性弁護士は9日も強気だった。日本を訪れる中国人が好むのはブランド品や化粧品、日用品だけではない。都心のマンションや一戸建ても大人気の商品だ。

 中国の富裕層の多くは高度経済成長の中で不動産の転売を繰り返し、複数物件を所有している。中国国内では不動産価格の抑制策がとられているため、余剰資金は株式や海外の不動産投資に向かってきた。東京五輪を控え、彼らの目に日本の不動産は割安に映る。

 中国人が日本で不動産を買う際は全額現金で払うケースが多い。個人が中国から資金を海外に持ち出すのは難しいとされるが「海外企業設立や留学資金など名目を変える方法はたくさんある」(不動産関係者)。

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 都心のマンション価格はリーマン・ショック前と同じ6000万円台に上昇した。「買い手は節税対策の日本の富裕層と海外マネーが中心」(野村証券の福島大輔アナリスト)という不動産市場で「都心立地を好む中国人客は最後の買い手」(大手不動産会社幹部)なのだ。

 上海株相場の崩落が予感させるのは、様々な経路で日本の不動産に流れ込んでいる中国の富裕層マネーが細る懸念だ。

 14年度の日本の金融機関の不動産向け融資は12兆2544億円とバブル期の89年度を超えた。日本の都市部の不動産価格の上昇は続かないのではないか。そんな懸念を先取りするかのように不動産大手の株価は伸び悩み、業種別日経平均の「不動産」も日経平均を下回っている。不動産株の鈍い動きは中国富裕層マネーの陰りを映しているのかもしれない。

(戸田敬久)



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