スクランブル 割高株に逃げるマネー 投資尺度より勝る不安 2016/04/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 割高株に逃げるマネー 投資尺度より勝る不安」です。





 18日の日経平均株価は前週とは手のひらを返すような売られ方だった。産油国による原油増産凍結交渉が合意できず、株式市場も冷や水を浴びた。商社など資源関連株は売られ、投資マネーは食品や医薬品株に逃げ込んでいる。全面安でも下げが小さい銘柄には投資指標が割高なものも多く、投資家の根強い不安が透けて見える。

 「交渉がまとまると思っていたのに」

 18日未明に流れた産油国による増産凍結見送りのニュースは、市場関係者を慌てさせた。ニューヨーク原油先物相場は時間外取引で再び30ドル台に急落。資源関連株は一斉に売られ、三菱商事や三井物産など大手商社5社の株式取引はそろって売り気配で始まった。SBI証券の藤本誠之氏は「前週買い戻していた売り方が再び売りに回ったようだ」と話す。

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 警戒モードに入った投資マネーは医薬品や食品株に流れ込む。わかもと製薬は6%高、小野薬品工業は下げたものの1%安にとどまり、ヤクルト本社やキユーピーはほぼ前週末並みに踏みとどまった。中にはPBR(株価純資産倍率)が割高な銘柄もある。小野薬は5.6倍、ヤクルトやキユーピーは2倍台だ。

 PBRが高くても買われ続ける傾向は、実は日経平均が1万7000円台を目指していた前週にもひそかに進行していた。

 最高益が続くカルビーの投資家向け広報(IR)担当者は3月下旬以降、機関投資家向けの対応に追われた。「いったん売却していた機関投資家からの問い合わせも多い」という。

 日本株をとりまく条件を見渡せば為替など外部環境の影響をそれほど受けずに成長し続ける銘柄は少ない。カルビー株の予想PER(株価収益率)は35倍、PBRは5倍近いが、国内外で安定した利益成長が続く食品大手は機関投資家にとって安心できる銘柄だ。米運用会社のブラックロックは6日、味の素株の保有比率を6.25%と、1.14ポイント引き上げたと公表した。

 通常なら投資家は割高な株を売って割安な株を買う。ところが今の局面では割高株が買われ続け、PBRや配当利回りといったバリュエーション(投資尺度)の差は縮まらない。UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジストは「日本株投資を続けている海外投資家は、割高でも成長が見込める銘柄間で売買を繰り返している」と話す。

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 中国の景気減速が続くなら資源相場は短期的な反発はあっても中期的には上昇が見込めない。為替で業績が動く自動車など輸出株も手を出しにくい。いきおいマネーは「安心・安全」な一部の食品、医薬品株に集まる。業種別平均でもPBRは上がり、配当利回りは下がり続けている。

 資源関連株に関心を寄せていた損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの狩野泰宏シニア・インベストメントマネージャーは「簡単にバリュエーションの差は縮まりそうにない」と様子見を続けることにした。広がり続ける投資尺度の格差は、外部環境に揺さぶられる日本株への投資家の不安を色濃く映している。

(成瀬美和)



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