スクランブル 売られすぎた電機株 中国リスクが独り歩き 2015/08/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 売られすぎた電機株 中国リスクが独り歩き」です。





 13日の日経平均株価は3日ぶりに反発した。中国人民銀行が人民元相場の安定方針を示唆し、過度な警戒感が薄れた。今週一気に高まった中国懸念を映して株価がさえない業種の代表格が電機株だ。だが電機各社の業績は好調で、経営陣からは強気の発言が相次ぐ。電機株の売られ方を見る限り、中国リスクが市場で独り歩きしている感がぬぐえない。

 「今の生産能力では足りないほど中国のスマートフォン(スマホ)向けの受注が伸びているのに」。TDK幹部は自社の株価の低迷を嘆く。2015年4~6月期の連結純利益は前年同期から2.3倍に拡大。スマホ向け部品を手掛ける受動部品事業の営業利益は最高益を更新したが、株価は7月末の決算発表日に比べて4%安に沈んでいる。

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 13日はさすがに反発したが、業種別日経平均の電機株は6月24日の直近高値の8%安(日経平均は1%安)の水準だ。7月に米アップルが公表した7~9月期の売上高予想が中国のスマホ需要の減速が主因で市場予想を下回り、これを機に電機各社の中国リスクが意識されるようになった。

 ただ電機各社の経営陣の肉声に耳を澄ますと、各社の中国事業の先行きに過度に悲観的になる必要はないことが分かってくる。

 26年ぶりの公募増資直後で注目を集めたソニーの4~6月期は純利益が過去最高を更新。吉田憲一郎副社長は「主力の画像センサーは中国のスマホ向けに需要が強まっている」と指摘する。中国メーカー向け売上高が倍増した村田製作所の藤田能孝副社長は「(7~9月期に向け)受注はさらに上向いている」と言う。

 各社の発言から読み取れるのは「多少景気が悪くても十分補える」という自信だ。その自信は、中国市場での「強い製品」と「強い顧客」の存在が支える。

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 電機各社は金融危機後の構造改革で稼げる事業を育成。需要変動に右往左往する家電は主力ではなくなった。実際、ソニーのセンサー、日立製作所の昇降機は中国景気に左右されず数量と利益とも伸ばしてきた。

 アルプス電気も同社のスマホカメラ用の手ぶれ補正機器の技術をまねできるのは中国には1社もいない。甲斐政志常務は「うちは普及品ではなく高級機種向けなので」と話し、中国リスクはどこ吹く風だ。

 「強い顧客」との関係も強みだ。中国のスマホメーカーは勝ち組と負け組が鮮明だが、中国の大半の顧客との関係を築いたTDKは「強い顧客向けを徹底的に伸ばす」(上釜健宏社長)戦略が好業績につながっている。それに加え、今の電機各社には円安や好調な米国という追い風も吹く。

 「売られすぎの銘柄が多い」。アバディーン投信投資顧問の窪田慶太氏はこう指摘し、「中長期視点から電子部品などで競争力のある銘柄を見直したい」と言う。確かに中国リスクは不気味だ。だが「森」を見すぎて「木」をおろそかにすると、成長シナリオを見誤って買い場を逃す恐れもあるだろう。

(田中博人)



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