スクランブル 往来相場の「演出者」は 銀行のETF売買が影響 証券部 宮本岳則 2015/08/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 往来相場の「演出者」は 銀行のETF売買が影響 証券部 宮本岳則」です。





 連日の猛暑で夏ばて気味の東京株式市場。7月31日の日経平均株価も上値の重さが目立った。市場参加者の間では「上値2万1000円、下値2万円」のボックス相場が続くとの見方が増えている。相場の大きな流れを決める海外投資家が様子見に転じるなか、株価指数連動型上場投資信託(ETF)を使い、短期間で値幅を狙うある投資主体の影響力がじわり高まっているからだ。往来相場の「演出者」は誰か――。

 「今週に入り、海外投資家は様子見を決め込んでいますね」。日本株相場が膠着感を強めた31日午後、SMBC日興証券のトレボー・ヒル常務執行役員はこう明かした。「ファナック・ショック」などがきっかけとなり「中国の景気減速による日本企業の業績悪化に警戒感が高まっている」という。

 年初から日本株相場のトレンドを決めてきたのは、海外の中長期マネーだった。彼らの勢いが止まったことで、市場では2つの国内投資主体に注目が集まっている。一つは値動きが2倍になる「レバレッジ型」ETFを積極的に売買する個人投資家。もう一つはメガバンクや地銀といった国内金融法人だ。

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 大和証券の熊沢伸悟マーケット・アナリストが興味深いグラフを見せてくれた。棒グラフは日経平均など主要日本株指数に連動するETFへの資金流出入の累計額で、日銀の買入額は除いた。東証によると都銀や地銀、信託銀行がETF全体の6割を保有する。信託銀保有分の大半は日銀の買い入れによるもので、累計額の推移は「メガバンクや地銀の投資動向を示唆している」(熊沢氏)。

 7月に入ってからの資金流入は強烈だ。30日時点の累計額は約6000億円の買い越し。日本株が弱含んだ7月上旬から約1カ月間で約2800億円積み上がり、ETFの「山」は年初から最も高い水準にある。

 「7月9日にもっと買っておけば良かった……」。ある地銀の運用担当者は悔しがる。日経平均が一時、1万9110円台まで調整した際、日本株ETFにすかさず買いを入れたという。メガバンクや地銀などは低金利下の運用難で国債を減らし、日本株への投資額を増やしてきた。ETFを提供する三菱UFJ国際投信の佐々木康平マネジャーは「急ピッチの株高で買い遅れていた銀行は多く、2万円割れ水準では引き合いが強い」と明かす。

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 もっとも彼らは「辛抱強い」投資家ではない。一定の値上がりで売却し、また下値を拾う傾向が強い。直近でその傾向が顕著に出たのは5月から6月上旬。「当時の利食いポイントは2万円近辺」(三菱UFJ国際の佐々木氏)。目標到達でETFの解約が相次いだ。足元で買いと売りのポイントは切り上がったものの、銀行勢からは「2万1000円近くになったらいったん利益確定売りを出す」(別の地銀運用者)といった声が聞こえる。

 銀行勢のETF売買は、下値で強力な株価下支え効果を発揮するが、上値を抑える要因にもなり、往来相場を陰で演出する。市場参加者の脳裏に浮かぶのは14年9月の記憶だ。決算対策とみられる利益確定売りでETFの「山」が崩れ落ち、日経平均も弱含んだ。足元でも銀行勢の持ち高は積み上がっているとみられ、ボックスの上限では「短期的な売り圧力になりうる」(東京海上日動火災保険の桑山祐介課長代理)。思わぬ伏兵に目配りが必要だ。

(宮本岳則)



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