スクランブル 日本株、相対優位に暗雲 世界景気減速で利食い売り 2015/08/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 日本株、相対優位に暗雲 世界景気減速で利食い売り」です。





 204日の日経平均株価は大幅続落した。中国株の下落が止まらず、これが東京市場の先物売りを招いた。世界的な景気減速懸念で主要国では金利低下も進む。リスク回避を強めるマネーは、企業業績を評価して相対優位にあった日本株も見限ることになるのか。

 「毎日、中国に振り回されうんざりしています」。大手証券のトレーダーは不機嫌そうな様子で話した。

 20日の相場が動いたのは午後。後場寄りに値ごろ感の買いでプラスに浮上したが、中国株が下げ足を速めると「手のひらを返したように先物にまとまった売りが出た」(トレーダー)。決算シーズンを終え、国内には買い材料が乏しい。買い向かう投資家はほとんどいなかったという。

 最近の日本株の下落について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「海外投資家の換金売りの対象になっている」と解説する。新興国や米国株の下げがきつく、今年の値動きが良好な日本株を売って損失を穴埋めする動きが出ているとの見立てだ。

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 変調をきたす中国の悪影響は、日本と並んで相対優位を保ってきた欧州にも波及している。ドイツでは中国関連銘柄に位置づけられる自動車大手フォルクスワーゲン株が過去1カ月で約15%安。独DAX指数も調整色が濃い。

 株式を避けるマネーが向かうのは安全資産である先進国の国債だ。日本の10年債利回りは節目の0.4%を割り込み、債券買いに拍車がかかっている。

 米10年債利回りも同様の傾向にある。本来、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが意識される現在の市場環境なら、長期金利は上昇するはず。動きが逆になっているのは「利上げ後の世界的な景気鈍化を織り込み始めているためだ」と、JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏は語る。「利上げするほど景気がいい」という自信を投資家は持てていない。

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 株式から原油までリスク資産が一斉に売られ、債券に向かうマネーの「リスクオフ」。その波にのまれ、日本株も本格的な調整局面を迎えるのだろうか。

 もっとも、極端な悲観に傾く必要はないかもしれない。長期に資金を運用する有力投資家は日本株への関心を失っていないからだ。

 世界有数の政府系ファンド、アブダビ投資庁(ADIA)は7月末、日本株の運用責任者として明治安田アセットマネジメント出身の黒田恒氏を招き入れた。世界に分散投資する有力投資家が、日本を重点市場に位置づけている証左だ。

 メリルリンチ日本証券が9月に東京で開く日本株セミナーには500人近くの海外投資家が参加を表明している。アジアや中東の政府系ファンドから欧米の年金基金までが名を連ねる。

 日本企業は米欧に比べて企業収益が好調で、投資指標も割高感に乏しい。企業統治の改善も加わり、世界の主要市場の中で株価は相対優位を保ってきた。

 リスクオフの波に無縁ではいられないが、日本固有のプラス材料が消えうせたわけではない。リスク回避の波にもまれつつも、海外の長期マネーを根付かせられるかどうかに、日本株の行方がかかる。

(川上穣)



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