スクランブル 株安局面の株高リスク 英投票後の待機資金に思惑 2016/06/17 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「スクランブル 株安局面の株高リスク 英投票後の待機資金に思惑」です。





 日銀の金融政策決定会合を通過し、市場関係者の次の注目は23日の英国民投票に移った。欧州連合(EU)離脱派の勢いが増すにつれて、株価下落シナリオが意識されがちだが、市場では将来の値上がり期待で買う「コールオプション(買う権利)」の建玉残が積み上がっている。株安局面で「株高リスク」に備える投資家心理とは――。

 市場関係者の間で日経平均オプション(7月物)の権利行使価格1万8500円のコール(買う権利)の未決済残高(建玉)が話題だ。日銀の追加緩和がなかった失望から日経平均株価が急落した16日も残高は積み上がり、2万1343枚に達した。

 通常、株価急落局面では、さらなる下落に備えてプット(売る権利)の取引が膨らみやすい。ところが全限月ベースの建玉増加ペースを見ると、16日時点のコール建玉が10日比で8.4万枚増となる一方、プット建玉は6.8万枚増にとどまる。「買う権利」の増加幅が「売る権利」を2割上回る。

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 逆転現象の背景には23日に迫った英国民投票がある。世論調査ではEU離脱派が残留派を上回る結果も出始め、市場は離脱による相場波乱に備え始めた。一方で「7割の確率で残留」(米プリンシパル・グローバル・インベスターズのジム・マコーガン最高経営責任者)との予想も依然、残っている。仮に残留となれば株価が大幅調整した分、値上がりも大きくなる。この「戻り」を取り逃がすリスクが徐々に意識されているわけだ。

 日本株の特殊事情も加わる。市場の不透明感が強まると為替は円高になりやすく、他の先進国株に比べ売られやすい。東京海上日動火災保険の桑山祐介課長代理は「残留となれば、それまで売られすぎた分、瞬間的に米国株を上回る上昇になる」と予想する。

 「残留なら、好感した買い戻しは長続きするかもしれない」。英系運用会社ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄ファンドマネージャーはこんな見方を披露する。注目したのは米バンクオブアメリカ・メリルリンチが14日に公表した「ファンドマネジャー調査」。世界の機関投資家の現金保有率はリーマン・ショック時を上回り、2001年以来の高水準になった。極度の安全志向から待機資金が膨らんでいるのだ。

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 「不安定な相場は我々の『友人』みたいなもの。優良銘柄を割安に買う好機だ」。来日中の有力運用会社、米ファースト・イーグル・インベストメント・マネジメントのマシュー・マクレナン・ポートフォリオ・マネジャーはこう語る。相場が大荒れになった16日にある機械メーカーを訪問。日本滞在中に新規投資先候補を含む約20社を訪れる予定という。

 23日の英国民投票の結果がどうなるのかは予断を許さない。だが、どちらに転んでも、投票後に市場を覆う不透明感が薄らぐことだけは間違いない。その際、待機マネーが市場に戻ってくるエネルギーは「残留」のほうが大きいはず。積み上がる「買う権利」はこんな投資家心理を映しているのかもしれない。

(宮本岳則)



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