スクランブル 海外発「第3のリスク」 原油安、米業績の重荷にも 2015/07/08 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 海外発「第3のリスク」 原油安、米業績の重荷にも」です。





 泥沼化するギリシャに中国の株安。海外発の2つの悪材料に揺れる東京市場だが、7日の日経平均株価は264円高と前日の下落幅の6割を取り戻した。だが、新たに気になる動きもある。海外発「第3のリスク」にもなりかねないのが6日に急落した原油価格だ。日本経済にはプラスの原油安も、世界経済のけん引車、米国の企業業績の重荷となる。折しも8日から本格化する米国企業の決算発表の行方が注目される。

 朝方から幅広く買い戻される中、特に買いが目立ったのが原油安の恩恵を受ける銘柄だ。ANAホールディングス、日本航空がそろって年初来高値を更新。業種別日経平均の「電力」と「パルプ紙」が3%前後上昇した。食品株の一角も物色された。

 手掛かりが原油先物の国際指標、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の下落だ。ギリシャ問題に歩をそろえるように6月下旬から下げ足を速めたWTIは、6日には1日で8%弱も急落。約3カ月ぶりの安値を付けた。投資ファンドなどがリスク回避の動きを強めている。

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 日本株にはどう影響するのか。この日関連銘柄が買われたように、基本的には原油安は特に内需企業にとって追い風。円安を相殺し輸入コストを抑える。ガソリン価格の値下がりを通じ消費も刺激される。

 だが、専門家は「原油がさらに大きく下落すると新たなリスクになりかねない」(みずほ投信投資顧問の柏原延行氏)と警戒する。“震源地”が米国だ。6日のダウ工業株30種平均は続落し、中でも石油大手のエクソンモービルとシェブロンが1%前後下落するなど、ダウ平均(0.26%安)と比べても下げがきつかった。「原油急落で石油大手の業績下振れ懸念が高まり、ダウ全体を押し下げた」(大和証券の壁谷洋和氏)という。

 米国では石油大手などエネルギー関連の企業業績全体に与える影響が大きい。これから決算発表が始まる主要企業の2015年4~6月期決算の市場予想は、純利益が前年同期比3%減と、5年9カ月ぶりの減益見通し。エネルギー関連が6割減と大幅減益になり足を引っ張る。

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 米国では決算の着地が事前予想を上回ることが多く「今回も上振れの可能性は高い」(壁谷氏)。とはいえ、回復基調にあった原油の急落は次の7~9月期の業績圧迫要因となる。10~12月期でのプラス転換というシナリオまで崩れるようだと、年初から何とか横ばい圏で推移する米国株の強い下押し圧力となる。

 現状では、金融政策の方向の違いもあり、日米株価の連動性は薄れている。「日本株への波及は当面は限定的」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)との声が大半。ただ、リスクに敏感になったマネーが資産間の移動を通じて米国株を大きく揺さぶる展開になれば話は別。強い米経済は日本企業の好決算見通しの大前提だ。

 8日の非鉄大手アルコアを先頭に米企業の4~6月期決算発表が始まる。ギリシャ、中国を注視しつつもこちらからも目が離せない日が始まる。(伊藤正倫)



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