スクランブル 米利上げ、警戒じわり 運輸や資源、投資家が敬遠 2015/07/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 米利上げ、警戒じわり 運輸や資源、投資家が敬遠」です。





 米国の利上げに市場が身構え始めている。23日の日経平均株価は反発した。好決算を手掛かりに内需株が買われる陰で、さえない銘柄群がある。海運、陸運、商社、非鉄。すべて世界景気に業績が影響される業種だ。年内に米利上げが確実視され、市場では新興国経済の先行きに悲観的なシナリオがささやかれる。日本株への楽観論は根強いが、投資家は近い将来の波乱に警戒感を強めている。

 23日、日本郵船と三井物産、住友金属鉱山は逆行安となった。株価は昨年末に比べてマイナスか横ばい圏で、高値更新を視野に入れる日経平均と比べて明らかに出遅れている。これらの銘柄は世界の荷動きや商品市況に業績が左右される共通項がある。

 米国に目を転じても状況は似通う。世界中にネットワークを張り巡らせる総合物流大手UPSやフェデックスの株価は伸び悩んでいる。主要な物流株の値動きを示すダウ輸送株指数は9カ月ぶりの低水準にあり、高値更新が続くダウ工業株30種平均との乖離(かいり)幅が広がっている。

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 物流は「経済の体温計」だ。荷動きの状況は世界経済の実情を映し出す。日米の運輸株の低迷は「米利上げを契機に世界的に荷動きが鈍化することへの警戒」(バークレイズ証券)が背景にある。東京海上アセットマネジメントの久保健一氏は「利上げで株価のボラティリティー(変動率)上昇が予想される銘柄は買いにくい」と漏らす。

 利上げ時期の前倒し観測が強まり、この傾向に拍車がかかっている。日興アセットマネジメントは10~12月としていた利上げの予想時期を9月に見直した。三井住友アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは「雇用など米国の景況感を考えると9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る理由はない」と指摘する。

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 米利上げによりドルへの回帰が起これば、新興国から米国に資金がシフトする。実際、株や債券、通貨といった新興国の資産は売られ始め、実体経済への影響が懸念されている。

 株の乱高下に揺れる中国も経済成長の減速が警戒されている。鉄鉱石や石炭などを運ぶ鉄道貨物輸送量は6月は2ケタのマイナスだ。「鉄鉱石などの在庫は過剰」(みずほ総合研究所の玉井芳野氏)で、マイナス基調は当面続きそうだ。中国の資源需要が低迷し、商品価格の総合的な値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数は6年ぶりの安値圏に沈む。

 中国経済がふらつく中で利上げが重なれば、日米欧も無傷ではいられない。富国生命保険の山田一郎氏は「新興国での事業比率が高い企業の動向は要注意」と警鐘を鳴らす。

 米利上げで日米金利差が広がれば円安が進み、そのクッション効果で日本株の下落リスクは相対的に小さくなる――。こんなシナリオで先行きを楽観視する投資家は少なくない。だが「世界の金融市場が動揺すれば、株を手放すリスクオフは一気に広がる」(富国の山田氏)。日本株の利上げ耐久力を過信すると手痛いしっぺ返しをくらいかねない。

(湯浅兼輔)



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