スクランブル 荒れる株価は宿命か マイナス金利下の「新常態」 2016/02/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 荒れる株価は宿命か マイナス金利下の「新常態」」です。





 26日の日経平均株価は続伸し、年初から荒れに荒れた日本株市場はひとまず安定を取り戻したようにみえる。だが市場が予想する将来の株価変動率は高止まりしたままで、それは日銀が導入したマイナス金利とも浅からぬ関係がある。相場が荒れるのは日本株の宿命――。マイナス金利下で投資家は荒れる相場を「新常態」と受け入れるしかないのかもしれない。

 「落ち着いてきたようでも、まだ警戒は解けない」年初からの荒れ相場でパフォーマンスがさえないせいなのか、ある国内大手運用会社の日本株運用担当者はさえない表情だった。

□   □

 市場参加者たちが相場波乱が収まったとは思っていないのは、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)がなお高水準であることからも読み取れる。

 26日終値は34.09。12日につけた50.24からは下がったとはいえ、市場は日経平均が68%の確率で毎日2.1%(26日終値からは約340円)上下に振れると予想している計算になる。

 世界の主要市場のなかで、過去30日の日本株の変動率は年率44.7%で堂々のトップだ。中国の上海・深圳やブラジルなど新興国を上回る相場の荒れぶりに「日本株はなぜこれほど変動が大きいのかという投資家からの質問が後を絶たない」(UBS証券の大川智宏氏)のも、むべなるかな。

 輸出比率が高いため世界の景気変動の影響を受けやすいうえ、海外投資家のシェアが高く海外マネーの出入りで大きく動く――。日本株の変動率が高い理由は従来こう説明されてきた。いずれも正しいのだろう。そして、さらに株価変動を増幅する新条件が加わった。それがマイナス金利だ。

□   □

 企業の理論株価は将来利益の合計を現在価値に割り戻して求められる。企業の利益成長がないと仮定した最も単純なモデルでは、理論株価は1株利益を割引率で割った値になる。

 割引率はリスクのない投資のリターンである長期金利(国債利回り)に、投資家が株を買うリスクの見返りに要求するリターンである「リスクプレミアム」を足して求める。そこにマイナス金利が登場し、日本株の株価算定の割引率を決めるベースとなる長期金利がマイナス圏に突入した。

 理論株価の算定式で考えると、1株利益とリスクプレミアムを一定とすれば分母の割引率の水準が下がり、株価は上昇する。だがそれと共に忘れていけないのは、リスクプレミアムが猫の目のようにころころと日々変動することだ。

 「マイナス金利下では割引率の水準が下がり、市場心理で決まるリスクプレミアムの振れが株価に大きな影響を与える」。大和証券の吉野貴晶氏はこう説明する。これは割引率と理論株価の反比例の関係を描いたグラフからも一目瞭然だ。

 世界景気という外部環境が落ち着いてくれば、相場もおのずと安定する――。この市場の経験則は正しい。ただマイナス金利下では理論上、株価の動きも変わってくるため、荒れる相場はそう簡単には元に戻らないかもしれない。マイナス金利は投資家にそんなうんざりする事実に向き合うことも迫っている。

(証券部次長 川崎健)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です