スクランブル 虎視眈々のファンド勢 空売り判断、中国を注視 2015/08/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル 虎視眈々のファンド勢 空売り判断、中国を注視」です。





 5日の日経平均株価は一時200円近く上昇したが、その後は伸び悩んだ。方向感がつかみづらい今の株式相場で、ヘッジファンドが虎視眈々(たんたん)とタイミングを計っている投資アイデアがある。高騰するディフェンシブ株や内需株をどこで空売りし、割安な輸出株をどこで買うのか、だ。議論の中身を聞くと、1つのキーワードが浮上する。中国経済だ。

 「内需株やディフェンシブ株の今のバリュエーション(投資尺度)をどうみているかですか? 社内でそのテーマをこの1カ月間、ずっと議論していますよ」

□   □

 日本株だけでも約4千億円を運用する米大手ヘッジファンドの東京オフィス。日本株担当の米国人のファンドマネジャーはこう言いながら、1つの興味深いチャートを見せてくれた。

 JR西日本の株価をファナックの株価で割った株価倍率のチャートだ。おおむね0.2~0.3倍で推移していた倍率は急上昇。JR西日本が高値更新を続ける一方、ファナックは先週の業績下方修正発表で大きく売られたためだ。「これを見ても、内需株と輸出株の二極化がかなりいいところまで来ているのは確か」

 現物株専門の多くのファンドと同様にこのファンドもファンダメンタルズからみて割安な株を買い、割高な株を空売りする。このチャートを見ると、多くの人はいつかは平均値へと修正されるとみてファナックを買い、JR西日本を売りたくなってしまうだろう。

 実際、高騰する内需株やディフェンシブ株には空売りが出始めている。東京証券取引所に提出された大量空売り報告を見ると、7月下旬以降にファストリや小野薬、ユニーGHDなどにまとまった空売りポジションが報告されていた。

□   □

 売り手の名義はファンドが口座を設けた証券会社。貸株などヘッジファンド向け証券サービスを手掛ける有力証券に聞くと、こう教えてくれた。「ファンド勢の多くはまだ空売りする時期ではないとみている」。開示で表になる空売りの多くはクオンツ(計量分析)系ファンドのもので、ファンダメンタルズに従って空売りする通常のヘッジファンドは「市場から狙い撃ちされるのを警戒し、空売りポジションをさらさないよう注意している」という。

 冒頭のファンドも「空売りするには少しだけ早い」との判断だ。内需・ディフェンシブ株の高騰と輸出株の低迷という二極化現象は世界経済の成長鈍化を反映した構造的なものとみているからだ。それに景気鈍化で世界の長期金利が低位にある間は債券の代替としてディフェンシブ株への資金が流入し続けるため、怖くて空売りできないという。

 では、トレードを仕掛けるのはいつか。「タイミングを決めるのは中国経済。中国の成長鈍化がどこで底を入れるのか、その一点を注視している」という。それが確認できれば輸出株に見直し買いが入り、消去法的な内需・ディフェンシブ株への資金集中も和らぐとみる。それが1カ月の議論の結論だった。いずれにしても、いよいよ中国から目が離せなくなってきた。

(証券部次長 川崎健)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です