スクランブル ETF活況に危うさ 相場の不安定さ増幅も 証券部 藤原隆人 2015/10/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「スクランブル ETF活況に危うさ 相場の不安定さ増幅も 証券部 藤原隆人」です。





 株式市場で上場投資信託(ETF)が相場を揺さぶる場面が増えている。株価指数に連動した運用が比較的低コストでできるとして個人投資家による売買が膨らむ半面、個別の現物株の売買が細っているためだ。海外では日本株に投資する米国の大型ETFから資金流出が続いており、先行きを危ぶむ見方も出てきた。

 「海外投資家の買い戻しが中心だった」(BNPパリバ証券の丸山俊日本株チーフストラテジスト)という6日、全市場で最も売買代金が多かったのは「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(日経レバ)」だ。

 首位は32営業日連続。6日の売買代金は1882億円と2位のトヨタ自動車の2.7倍に達した。日経レバは日経平均の1日の騰落率のおおよそ2倍に連動することを目指すETFだ。

 1日に数億円規模で株式を売買する大阪市の個人投資家、村上直樹さんは今夏、中国を起点とする株安に見舞われて以来、日経レバを頻繁に売買するようになった。相場が大きく変動する日は「個別株のデイトレードよりも、大きな利益が得られる」ためだ。

 日経レバは「相場の日中の値幅が増幅する」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)要因になりつつある。運用会社は値動きが日経平均の2倍になるように純資産額の2倍の金額を日経平均先物に投資するので、日経レバの売買が活況になるほど先物市場への影響も大きくなる。

 「値動き重視」の個人投資家が愛用するETFは他にもある。

 6日、売買代金11位に顔を出した「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(日経ダブ)」は、日経平均が1%下落したときに2%上昇するように設計されており、相場の下げ局面で利益が出やすい。9月上旬の相場の下落局面では、一日の売買代金が600億円を超える日もあり、売買代金上位の新たな「常連」となりつつある。

 日経平均の予想変動率(日経VI)の動きに価格が連動する上場投資証券(ETN)も8月以降、売買が大きく膨らんでいる。

 東証1部の現物株の売買代金は2兆円前後。半面、ETFの売買代金は3000億円を上回る日もあり、ETFが占める比率は直近で1割を超えている。

 海外でも気になる動きがある。米国で1兆8000億円の残高を抱える日本株ETF「ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ」では8月以降、資金が流出に転じたようだ。14年の前半にも資金流出が日本株の調整と連動していただけに「海外の中長期の投資家動向を映す」(野村証券の塩田誠ETFマーケティング・グループ長)と懸念が広がっている。

 短期志向の売買が相場を左右し値動きが激しくなるほど、中長期の投資家が売買を手控える構図はかねて指摘されてきた。ETFの活況の裏に不安定さを増幅する仕組みが潜んでいるとすれば、投資家は引き続き注意を払う必要がある。



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