スタートアップ大競争ここまで来た(4)国を鍛える気づけば社会イ ンフラ 2017/8/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「スタートアップ大競争ここまで来た(4)国を鍛える気づけば社会インフラ」です。





 メキシコの首都、メキシコシティ。治安も悪く、地元のタクシーでさえ近づかない区画にある公立中学校から、子どもたちの笑い声が聞こえるようになった。教室で子どもたちはパソコンで講義を視聴し、自宅ではスマートフォン(スマホ)で何度も復習できる。模擬試験の点数は以前と比べて約3割向上。多くの子どもが学ぶことの楽しさを知るようになった。

新興国の教育改革を支える(メキシコシティでクイッパーの教材を視聴する中学生)

 スマホなどで視聴できるオンライン講義システムを開発したのは、英クイッパー(ロンドン)。ディー・エヌ・エー(DeNA)創業メンバーの渡辺雅之・最高戦略責任者(CSO)が2010年に設立した。

300万人が学ぶ

 新興国では教師不足が足かせとなり、思うように教育改革が進まない。メキシコは教師不足の世界ランキングで58位。いつでもどこでも手軽に勉強できるクイッパーの講義システムは、教師不足の対策につながる。

 教育は国の成長を支える礎となる。スタートアップの発想と行動力が次代を担う若者の教育改革を支える。クイッパーの教育システムはフィリピンやインドネシアなど6カ国で、300万人以上が利用する。メキシコシティの教育委員会も4月に200校・約3万人で導入することを決めた。「教育改革を担う重責を感じる」。渡辺CSOは語る。

ドローンで薬

 21世紀は人材への投資こそが国の成長を左右し、世界各国が教育や医療などのインフラ整備を急ぐ。新しい発想で事業を生み出すスタートアップ企業こそが次世代のインフラの担い手になる可能性を秘める。

 貧困や紛争にさいなまれてきたアフリカのルワンダ。2011年起業の米ジップライン(カリフォルニア州)が世界初とされるドローンによる商用物流の実験に乗り出した。交通が不便な離村などにある約50カ所の医院に輸血パックや医薬品をドローンが届ける。

 民族紛争や隣国の難民流入を背景にルワンダの財政は逼迫し、国民の保健衛生の向上は待ったなし。ジップラインは政府に代わるインフラ機能を担い、物流網が脆弱な新興国での事業拡大に商機を見いだす。

 インドネシアの首都ジャカルタ。ベンチャー企業で働くステファヌスさん(31)は平日の午後、欲しかった電子機器をインターネット通販で注文した。受取場所をオフィスに指定すると、約2時間半後にはバイクに乗った運転手が商品を届けた。迅速な配達を実現したのが、バイク乗りのシェアサービスを手掛けるゴジェックだ。

 インドネシアではインターネット通販の利用者が急増する一方で、慢性的な渋滞による配達の遅れが日常茶飯事。ゴジェックは町中で無数に走る個人商売のバイクタクシーの中から、最も早く荷物を届けられる運転手を手配する。

 新興国でもネット通販や宅配が生活のインフラとして定着し、サービスの品質は日本を超える。インドネシア政府は消費振興や低所得層の雇用促進策としてもゴジェックに期待する。

 気がつけばスタートアップ企業の製品やサービスが「社会インフラ」として根を張り、世界で眠っていた人材の成長力に命を吹き込む。



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