スマート自販機 中国で普及へ 2018/06/22 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「スマート自販機 中国で普及へ」です。





中国で顔・静脈認証など最新のIT(情報技術)を駆使した「スマート自動販売機」が普及の兆しを見せている。コンビニエンスストアと違って、人件費や賃料がかからない。運営コスト面での強みを生かし、コンビニの地位に挑む。上海市のディープブルーテクノロジー(深蘭科技)などが開発を主導、同社は2万台の受注実績がある。今後オフィスのほか、主要な鉄道駅や空港、公園などで設置が進む見通しだ。

(画像:利用者はまず、個人情報と静脈を登録したうえで解錠する(上海市))

上海市の雑居ビルの一角。一見コンビニの冷蔵食品ケースのような機械が並ぶ。実は静脈認証を活用したスマート自販機だ。中に陳列されるのはお茶やパン、菓子など。近くに住む女性がスマート自販機の手のひらマークに手を合わせると、ケースの扉が開いた。

このスマート自販機は、アリババ集団のスマホ決済サービス「アリペイ」と連携する。静脈で本人であることを確認。あとは機械上部にある複数のカメラで顧客がどの商品を取り出したかを検知し、ケースのドアを閉めた段階でアリペイによって決済が自動完了する仕組み。顧客はスマートフォン(スマホ)をカバンから取り出す必要はない。

開発したのは、無人店舗開発のスタートアップ企業、ディープブルーテクノロジーだ。アリババ集団が出資するほか、イオンと次世代店舗の研究開発を目的とした合弁会社を設立した中国の注目企業の1社だ。

スマート自販機の1台当たりの価格は3万~3万5千元(52万~60万円)。同社は乳業メーカーなどから2万台の発注を受けている。創業者の陳海波・首席執行官は「旧来型の自販機よりも優位性は高い。目下のライバルはコンビニ」と鼻息が荒い。

スマート自販機は中国のスタートアップ企業を中心に開発競争が進む。 北京毎日優鮮便利購電子商務(北京市)はカメラと重量センサーの組み合わせで、顧客がどの商品を手に取ったかを識別するシステムを開発中。アリババ集団傘下のネット出前最大手「餓了麼(ウーラマ)」も重量センサーを活用したスマート自販機の開発を進める。

中国では日本と比べて自販機が普及していなかった。安全面に加えて、中国では硬貨の流通地域が一部に限られており、低コストの硬貨精算タイプの自販機設置が難しかった点が背景にある。

こうした問題をまずスマホ決済型の自販機が解決。さらにセンサーやカメラなどハイテク技術を備えたスマート自販機が登場、品ぞろえの豊富さや利便性でコンビニの利便性を奪おうとしている。

中国ではすでにスマホ決済を活用した棚型の無人販売がオフィスを中心に急速に広がっている。ウーラマなどが手掛ける。江崎グリコが日本で展開する「オフィスグリコ」のような仕組みで、その規模は中国全土で計20万~30万台に上るもようだ。スマート自販機はこうした仕組みと比べて、確実に顧客から資金を回収できる強みがある。今後置き換えが進む可能性がある。

調査会社の艾媒諮詢は2017年に4億元だったスマート自販機を含めた無人販売関連の市場規模が20年に135億元になるとみる。17年で約1900億元だったコンビニ市場の一部を徐々に奪う存在になりそうだ。

きめ細かなサービスで成長するコンビニか、利便性とコストで優位な無人のスマート自販機か――。中国の小売業界で「人」と「ロボット」のしのぎ合いが激しさを増しそうだ。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です