スリランカ、親中国を転換 シリセナ大統領会見 全方位外交に回帰 2015/08/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「スリランカ、親中国を転換 シリセナ大統領会見 全方位外交に回帰」です。





 【コロンボ=堀田隆文】スリランカのシリセナ大統領は最大都市コロンボで日本経済新聞と会見し、伝統的な全方位外交への回帰姿勢を強調した。「中国離れ」は否定しつつも、1月の大統領選挙で破ったラジャパクサ前大統領による、過度の親中国路線を転換する。近年、政情が安定し経済成長が著しい同国は、インド洋の中心という地政学上の要衝にある。このため大国が影響力拡大を競うが、要衝ゆえに外交のかじ取りに苦慮する姿も浮き彫りになった。

  「世界各国と良い関係を築く『中道』を目指す。特定の国との関係を重視すれば、他の国との関係に後ろ向きな影響を与えてしまう」

 シリセナ氏は全方位外交を説明し、前任のラジャパクサ氏が10年間の在任期間中に進めた親中路線の軌道修正を訴えた。同国の伝統的な外交政策を尊重する方針だ。

 具体的には、歴史的、文化的な関係が深い隣国インドとの関係の再強化が焦点となる。シリセナ氏は2月、大統領就任後初の外遊先にインドを選んだ。3月にはインドのモディ首相がスリランカを訪れ、2度の首脳会談をすでに実現させた。

  「全方位外交のなかで安全保障上の独立性を保つ。これは妥協できない。国の安全を危険にさらすことは望まない」

 インド洋の要衝であるスリランカは中国、インドというアジアの2つの大国が自国の安保戦略への組み入れを競う。中国は中東へとつながる「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略の中心と位置づけ、インドも対抗する。

 実際、昨年には中国の潜水艦がコロンボの港に寄港し、インドが厳重に抗議したとされる局面もあった。シリセナ氏はこうした大国の思惑とは一線を画す姿勢を示した。

  「中国は長年の友好国で、経済発展に向けた大事なパートナーだ。(中国企業による)コロンボの港湾都市の開発計画を見直したが、対中関係を弱める意図はない。(中国側と)契約済みの他のインフラ整備計画も支障なく進むだろう」

 ただし、全方位外交は「中国離れ」を意味しないとも訴えた。コロンボの港湾都市開発は、前大統領が中国との友好関係の象徴として進めた。シリセナ氏の就任後、スリランカ政府は契約の不透明さを理由に計画の見直しを表明。工事を中断すると、今度は中国離れの象徴と騒がれた。シリセナ氏はこうした短絡的な見方を否定した。

 中国への配慮発言の背景には、緊密な経済関係がある。中国のスリランカに対する資金協力額は2009年からの5年間で計44億ドル(約5500億円)。2位の日本の2倍、インドの3倍だ。全方位外交を口にしつつも中国の存在は無視できない。シリセナ氏の発言からは一筋縄ではない外交政策の苦悩がにじんだ。

  「日本とは長い友好の歴史があり、大変に親しい間柄だ。今後の経済成長に向けて農業分野に注力し、農作物の輸出を増やしたい。日本の先端技術を取り入れたい」

 対照的に日本との関係強化には歯切れがいい。日本は08年まで長くスリランカに対する最大の支援国だった。スリランカは09年まで26年間にわたり多数派シンハラ人と少数派タミル人との間の内戦が続いた。その過程で欧米諸国からは同国に対する批判が高まったが、日本は支援を続けた。

 安倍晋三首相は昨年9月にスリランカを訪問した。日本の安保・経済戦略にとってもスリランカは無視できない存在だからだ。シリセナ氏が掲げる全方位外交で、日本が果たす役割は小さくない。



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