セクハラ ゼロへの道(上) 「男子文化」がそぐ活力 2018/06/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「セクハラ ゼロへの道(上) 「男子文化」がそぐ活力」です。





財務省事務次官の辞任など一連のセクハラ問題を受けて、政府は6月12日、研修強化などの対策をまとめた。セクハラは重大な人権侵害で、被害者に多大な負担を強いる。被害者の大半は女性だ。企業への損失も大きく、日本経済を覆うリスクとなっている。

(画像:明治安田生命の女性営業職は防犯ブザーを持ち歩く(東京都千代田区))

大企業でも発覚

「ミニスカート姿が見たいな」。京都府は2017年秋、女性に性的なLINEのメッセージを送った男性職員を戒告処分にした。処分は上司にまで及び、課長が譴責(けんせき)となった。直接関係していなくても、管理責任が問われた。

1月には日本ハムの執行役員がセクハラ発言で辞任し、同席の社長も退任に追い込まれた。当事者でなくても責任が問われる時代。もはや見て見ぬふりは許されない。セクハラは人ごとではない。

セクハラを巡る初の裁判は1989年。問題視されると対策が進み、07年の男女雇用機会均等法改正で企業は防止に必要な措置が義務付けられた。対策は一段落とみられていたが、一連の事件は意識が変わっていないことを示している。

ひとたび発覚すると、セクハラは経営を揺るがす。

米スポーツ用品大手のナイキ。3月以降、次期最高経営責任者(CEO)候補を含む10人以上の幹部が辞任した。女性社員への性的な嫌がらせが内部告発で判明したのがきっかけだ。「『男子文化』がはびこっていた」。マーク・パーカーCEOは5月、本社内に全社員を集めて陳謝した。

投資家も選別

米国ではセクハラがあった企業の株を排除する「反セクハラ上場投資信託(ETF)」が3月に登場。セクハラ疑惑で創業者が辞任したカジノ大手、ウィン・リゾーツの株価が報道後3日で15%下げるなど、投資家の選別も加速している。

人材流出、賠償金、士気低下、ブランド毀損……。セクハラの影響は多岐に及ぶ。米国ではこれらが企業に与える損失は1社約15億円との見方もあるが、明確な試算はない。「リスクの大きさを示す必要がある」。労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員らは研究会を立ち上げ、本格的な試算に乗り出した。

「セクハラはすべてのステークホルダーの信頼を失う経営問題」(三菱地所の吉田淳一社長)。日本経済新聞社が実施した「社長100人アンケート」では、9割近い社長がセクハラ対策を強化したと答えた。

ただ現場はどうか。「怖くて断れなかった」。早稲田大学4年の女子学生は今年の就職活動中、大手金融機関のリクルーターから何度も食事に誘われた。トップの危機感が浸透しないとセクハラはなくならない。

女性の活躍は企業の生命線だ。明治安田生命保険は3万人を超える女性営業職全員に防犯ブザーを配布。顧客先などでの万一のセクハラリスクから社員を守る姿勢を打ち出す。セクハラを許さないという社内外へのメッセージでもある。

17年の女性就業者は約2900万人と均等法施行の86年から500万人増加。15~64歳の女性の就業率は67%と右肩上がり。多様な人材こそが革新を生む。すべての人が不自由なく力を発揮する企業社会をつくるのが経営者の責務だ。

(電子版「FT記者が見た英の男社会」▼トップ→経済・政治→経済)

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