ゼミナール 米国の強さと課題(7) 格差継承、負の影響に関心 2015/06/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「ゼミナール 米国の強さと課題(7) 格差継承、負の影響に関心」です。





 格差の拡大は、米国が直面する難問の一つだ。日本でベストセラーとなったトマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」は、米国でも一大旋風を巻き起こした。ピケティ氏らによれば、2013年の米国では、所得の約20%が上位1%の富裕層に集中していた。

 伝統的に米国には、市場経済・競争社会の副産物として、一定の格差を容認する風土があるといわれる。それを反映してか、貧困層への財政支援のような政策を通じて格差を是正する度合いは、先進国の中では弱い。

 ただ、近年は格差が経済に与える負の影響に関心が集まっている。例えば消費への影響だ。富裕層は所得を消費に回す割合が低い。富裕層に所得が偏れば、米国の消費の勢いを弱めかねない。

 中長期的な成長力を弱める懸念もある。相対的に所得が低い世帯では、子の教育に資金を費やしにくい。教育水準は労働者の質を左右する。幅広い世帯で労働者の質が十分に高まらなければ、成長力への逆風になる。

 見逃せないのが、格差の固定化である。米国は格差が大きいだけではなく、それが次世代に引き継がれやすい国である。親世代の所得階層が子世代にどの程度引き継がれやすいかを先進国で比較すると、米国は英国に次いで格差が固定化される度合いが高い。

 格差の固定化は「子は親の世代よりも良い暮らしができる」という、アメリカン・ドリームの根幹をなす理想を脅かす。貧困への対応など、格差を乗り越え成功のチャンスを増やすための方策は、16年の大統領選挙にむけて大きな論点になりつつある。

(みずほ総合研究所)

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