ソフトバンク、スプリント再建が長期戦に 減損リスクの懸念消えず 2016/04/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「ソフトバンク、スプリント再建が長期戦に 減損リスクの懸念消えず」です。





 ソフトバンクグループの株価がさえない。2015年度末の株価は5366円と1年間で23%下げ、時価総額を2兆円近く失った。背景にあるのが米携帯電話子会社スプリントの苦戦だ。採算の改善に向けた合理化効果が出始めたものの、立て直しに手間取れば減損のリスクが表面化しかねない。目先は減損を避けられそうだが、長期戦に入った米事業再建の進捗度合いを見極める状況が続きそうだ。

 ソフトバンクの株価チャートはスプリントと相似形を描いている。自社株買いを表明した2月に急上昇したが、一時4ドル台に戻したスプリントが下げに転じると連れて売りが優勢となった。「稼ぎ頭になる。伸びしろが大きくワクワクしている」。孫正義社長が自信を深める米事業再建に投資家はなお疑心暗鬼だ。

 13年の買収時に5ドルを超えていたスプリント株は今年に入って半分以下まで下げた。

 スプリントが14年10~12月期に商標権など一部資産で21億ドル(当時のレートで約2500億円)の減損処理をした際、ソフトバンクは連結決算に反映しなかった。国際会計基準に基づけば、スプリント全体の企業価値はなお簿価を上回ると判断したためだ。

 連結の減損は(1)株価に基づく回収可能額(2)予想キャッシュフローの割引現在価値から負債を引いた額――の2つをはじき、両方で簿価を下回れば処理が必要になる。14年末時点では問題なしとされたが、2つの条件のうち株価については、足元の3ドル台前半の水準では減損基準に抵触しているとみられる。

 一方で明るい兆しも出ている。スプリントは1月、16年3月期の調整後EBITDA(償却前の営業利益)予想を68億~71億ドルから77億~80億ドルに上げた。固定費削減など合理化で17年3月期は95億~100億ドルを見込む。減損判定のカギを握る収益状況は「1年前より上を向いている」(君和田和子執行役員)。

 スプリントは15年10~12月期に6四半期連続で最終赤字となったが、携帯解約率が最低水準になるなど営業指標は改善をみせている。通信品質の改善策などが効いてきたもよう。野村証券の増野大作氏は「再建は着実に前進しており、フリーキャッシュフロー(純現金収支)の黒字化を探る局面に入る」と指摘する。

 ただ懸念払拭には時間がかかるとの見方が多い。米通信大手4社の10~12月期では携帯4位のスプリントのみが減収だった。他社からの顧客奪取へ割安な料金プランを積極展開していることが一因だ。SMBC日興証券の菊池悟氏は「合理化後に競争力が付いてくるか予断を許さない」とし、減損リスクは当面くすぶり続けるとみる。

 構造改革や料金面のテコ入れで止血は進むが、増収がけん引する反転攻勢の展望はまだ描きにくい。孫社長は昨年、スプリントについて「2年をメドに大幅に改善する」と話した。親子での株価低迷は投資家がそれを信じていない表れだ。仮に多少の減損を計上しても経営基盤は揺るがないが、後から結果で市場を納得させてきた「有言実行」の実績に泥を塗らないためにも、17年3月期は勝負の1年となる。

(篠崎健太)



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