ゾゾスーツ 野心と焦り 2018/05/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「ゾゾスーツ 野心と焦り」です。





「(採寸用の)スーツをばらまきまくる」。4月27日に前沢友作社長が宣言して以降、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの株価が息を吹き返している。採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」の生産にメドがついたことが評価された。ただ無料での大量配布という野心的な目標に対し、同社や前沢社長の焦りの裏返しとみる向きもある。

(画像:スマートフォンで撮影し、体形を計測できる新ゾゾスーツ)

ゾゾスーツは成長分野とするプライベートブランド(PB)「ZOZO」の成否を左右する重要なツールだ。「サイズに悩む人をなくせれば、ファッションに革命を起こせる」(前沢社長)とPB展開にあたり、採寸スーツを採用した。

だが、今年1月から配布を始めた初代のゾゾスーツは、技術的な問題で量産に失敗。新ゾゾスーツは、全体に水玉模様のドットマーカーを施し、スマートフォンのカメラで撮影することでサイズを測る方式を採用した。19年3月期中に「600万~1千万着を配布する」(前沢社長)計画だ。

初代ゾゾスーツでは利用者の5割が平均2.5点、金額で7500円分のPBを購入したという。2代目スーツは600万着を最低配布目標にしており、今期のPBの売上高を200億円程度と見積もる。この目標に、株式市場やアパレル業界の関係者は2つの側面から懐疑的な見方を示す。

ひとつは販売ペースだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の桜井亮シニアアナリストは16日付のリポートで「特に顧客数の拡大について同社の拡大シナリオは野心的であり、不透明感が強い」と指摘する。1千万着は、現在のゾゾタウンの年間購入者数(722万人)を大幅に上回る規模。また前提通りの購買頻度になるかも分からない。ゾゾスーツは「ミリ単位の採寸を実現するのは簡単ではない」(国内アパレル関係者)などと、生産管理の難しさを指摘する声もある。

仮に前沢氏が掲げる販売目標が達成できたとしても、これまで投資家を魅了してきた収益力に陰りが出る可能性がある。

ゾゾタウンは販売数量に応じてメーカーから手数料を得るモデル。自身で在庫を抱える必要がなく、利益率や効率性は高くなる。18年3月期は自己資本比率が57.7%にもかかわらず、自己資本利益率(ROE)が57.4%と、上場企業で屈指の高効率だ。

新ゾゾスーツは原価が1000円程度の見通しで、1千万着配布すれば、それだけで100億円のコストになる。製品の開発費や製造原価もかかるため、PB展開で利益率が低下する可能性は高い。同社の中期ビジョンによると、18年3月期に33%だった売上高営業利益率は今後3年間で23%まで低下を見込む。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です