ダボス会議閉幕 自由貿易に危機感 トランプ氏へ警戒強く 格差緩和「企業にも役割」 2017/1/21 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「ダボス会議閉幕 自由貿易に危機感 トランプ氏へ警戒強く格差緩和「企業にも役割」」です。





 自由で開放的な世界秩序が危機に直面しているのに、歯止めをかける道筋が見えない――。20日に閉幕した世界経済フォーラムのダボス会議はそんな焦燥感に包まれるものになった。社会の分断をあおる方向に動く政治に頼ることなく、成長の果実が広く行き渡るよう企業がもっと役割を果たすべきだとの議論も出た。

 今年の会議に暗い影を落としたのはグローバル化に異を唱える米国のトランプ新大統領の就任だ。

 「保護主義的な流れを強め、ナショナリズムが力を得る恐れがある」。米投資会社ブリッジウォーター・アソシエイツのダリオ会長はトランプ氏の勝利が世界にもたらす悪影響に懸念を表明。「(トランプ氏が攻撃する)メキシコが通貨危機に陥る可能性もある」(カーライル・グループのルーベンスタイン共同最高経営責任者=CEO)との声も出た。

 サマーズ・ハーバード大教授は「アルゼンチンの例が示すように大衆迎合的な政策で被害を受けるのは常に低中所得層だ」と述べ、いずれトランプ支持者の失望を招くと予測した。

 一方、カンター元米共和党下院議員は「新政権の政策は税制改革などで成長を3%に戻し雇用を増やすのが狙いだ」とトランプ効果への期待を示した。

 「世界の自由貿易体制が崩れるのではないか」という企業経営者の不安を鎮める役回りを担ったのは、中国の習近平国家主席だった。

 グローバル化を大海原になぞらえ「逃げずにどう泳ぐかを学ぶべきだ」と訴える演説に拍手もわいたが、「市場がまだ閉鎖的な共産国家のトップに言われるようでは情けない」(日本企業の経営者)との声も。自由主義経済の旗頭として発言すべき政治指導者の不在を印象づけることにもなった。

 内向き傾向を強める政治への危機感から、例年以上に「変化に取り残された人々への支援を拡充すべきだ」との声が相次いだ。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「低成長からの脱却とともに教育投資や安全網強化で格差を是正することが急務」と強調した。

 「(失業など)技術革新がもたらす悪影響をどう緩和するかは企業自身も考えなければならない」と指摘したのは米IT(情報技術)大手、ヒューレット・パッカード・エンタープライズのホイットマンCEO。IT企業のサービス支援などの仕事は工場閉鎖で職を失った人々の雇用の受け皿に十分なりうると語った。

 世界の混迷をそのまま映し出す会議となったが、47回目を数えるダボス会議自体も試練を迎えている。トランプ現象をうんだエリート不信の矛先はグローバル企業の経営者らが集うダボス会議にも向けられているからだ。

 「世界の状況を良くする」ことを使命とし、地球環境の改善や途上国の貧困削減などを活発に議論してきたが、今後は課税逃れや不透明な経営者の高報酬などグローバル企業に向けられた不信の芽を摘む努力も求められそうだ。

(ダボスで、編集委員 実哲也)



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