チケット価格に変動制 AIが需給で値決め 三井物産、ま ずプロ野球 2017/7/16 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「チケット価格に変動制 AIが需給で値決め 三井物産、まずプロ野球」です。





 人工知能(AI)を使って需給に応じてサービスの価格を変える仕組みが日本で始まる。三井物産がプロ野球やテーマパークなどのチケット価格を随時変動させるサービスを提供する。過去の実績を基に需要を予測して価格を変更し、興行主の収入を最大化する。AIではないものの、需給に合わせた値付けはホテル業界でも広がっている。日本になじみにくいといわれたサービス価格の変動制が浸透するかもしれない。

 5千円の指定席がきょうは4千円で明日は6千円――。三井物産はプロ野球のソフトバンクホークスとヤクルトスワローズの主催試合の一部座席について、チケットを販売するぴあやヤフーと共同で試験的に価格を変動させ始めた。球団から依頼を受けてデータ解析を施し、座席ごとに最適な価格帯を示している。

 欧米でチケットの価格変動サービスを手掛けるニュースター(バージニア州)と提携した。同社は米大リーグや米アメリカンフットボールNFLといったメジャースポーツのチケット価格を、機械学習を使ったアルゴリズム(計算手法)により算出している。

 過去3年分の販売実績のほかチームの現在の順位、ファンクラブの加入実績、試合の曜日や時間帯、季節などのデータを使うという。三井物産も同社のアルゴリズムを用いたシステムでチケット価格の情報を提供する。

 データを基に興行主の収入が最大化するように価格を設定する。人気の高い試合は販売価格を高くする。売れ行きが芳しくない場合、価格を下げて売れ残りを減らすように誘導して売り上げ増につなげる。

 プロ野球などのスポーツはシーズン開始前に決めた一律の価格でチケットを販売するケースが大半だ。曜日や対戦相手は開幕前でもわかるが、対戦する時点でのチームの順位や対戦相手の状況によって変化する需要を「時価」として反映させることはできず、これまで収入を得られる機会の損失を招いていた。

 三井物産は興行主の売り上げが増えた分の一部を手数料として徴収する成功報酬型の課金の仕組みも導入する。目に見える成果が出なければ費用負担を少なくできるため導入をためらう顧客を引き込めるとみている。

 今回の試験販売では必要に応じて1日1回価格を変更している。すでに販売を終えたチケットでは、発売後にいったん設定価格から値段が下がっていき、開催が近づくにつれて再び上がっていく傾向がみられたという。

 9月に長崎県のハウステンボスで開催する花火大会の座席販売でもサービスを提供する。2018年には新会社を設立し、コンサートやほかのスポーツイベントなどに対象を広げる計画。20年にエンターテインメント関連で約700万枚のチケット向けにデータを提供する規模にビジネスを伸ばしたい考えだ。

 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及も追い風となる。例えば駐車場の稼働状況をセンサーで感知し、その情報を随時、駐車料金に反映させることで収入を増やすことができる。不動産や物流、鉄道などの業界にこうしたビジネスを提案する。

 AIを使って価格を随時変動させる仕組みは米国でダイナミックプライシングと呼ばれ、スポーツや航空券などで導入されている。日本ではデータを基に自動的にその時点での最適価格に変更する仕組みは珍しい。

 AIではないが、ホテル業界では価格変動制が一般的だ。大手のアパグループは上限を設けた上で宿泊料金を自由に決める裁量を支配人に与え、需給に合わせた値付けをしている。航空券などでは閑散期や早期購入の際に割安で販売する手法も広がっている。

 価格がこまめに大きく変わる仕組みは日本の消費者になじまないと多くの企業は見てきた。平等を好む国民性が背景にあるとの指摘もある。野球チケットの取り組みは可変的な価格が広く受け入れられるかを検証する狙いもある。(堤正治)



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