トランプショック 世界の行方を聞く FRB批判、不安高 める米ミネアポリス連銀前総裁 ナラヤナ・コチャラコタ氏 2016/12/7 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「トランプショック 世界の行方を聞く FRB批判、不安高める米ミネアポリス連銀前総裁 ナラヤナ・コチャラコタ氏」です。





 ――トランプ次期米大統領の経済政策をどうみますか。

 「インフラ投資は成長を高める潜在力を持つ。今まで抑えられてきたイノベーションの促進につながれば経済への恩恵は大きい。一方、そうした効果が出なければ、労働需給が均衡に向かうなかでインフレ圧力を高め、利上げを加速させるだけに終わるかもしれない」

 「減税も需要押し上げにつながりうる。効果の程は、やはり新しいアイデアに基づく製品やサービスがうまれ、消費者がそれを求めるかによる」

NAFTA心配

 ――通商政策には懸念があります。

 「トランプ氏が保護主義的な感情をあらわにしているのが心配だ。政策がその方向に動けば米国や世界の経済には打撃となる。環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱宣言があったが、もっと懸念しているのは北米自由貿易協定(NAFTA)の行方だ。長く定着してきた仕組みで、そこから抜け出すようなことがあれば影響は甚大だ」

 「貿易は経済全体を潤すが、恩恵が皆に平等に及んでいるわけでないのも確かだ。ただ、そうした問題は所得再配分などで利益を分かち合うことによって対応すべきだ」

 ――市場では株高やドル高が進んでいます。

 「相場の方向は理解できるが、動きの大きさは驚きだ。市場が期待するインフラ投資や減税は議会を通さないと実現できない。共和党には財政悪化への懸念も強い。新政権と議会との間で緊張が生まれればどこまで実行されるかわからない」

財政刺激に利点

 ――トランプ氏はドル高を容認しますか。

 「彼の言動から感じるのは既存の概念を見直そうという強い意欲だ。米政権はずっと為替市場介入を避けてきたからそれは変わらないというふうには考えない方がいい」

 ――財政刺激策の金融政策への影響は。

 「刺激策でインフレ圧力が高まるのか、生産性上昇の方が進むのかによって変わる。前者なら予想より速い速度で利上げが進むだろう。自分自身はインフレ率の低さを心配してきたので財政出動が米連邦準備理事会(FRB)にとってとても悪いことだとは思わない」

 「経済を刺激も冷やしもしない『中立金利』(物価上昇分を除く実質水準)の上昇につながる可能性もあり、そうなれば将来の利下げ余地を増す利点がある」

 ――トランプ氏のイエレンFRB議長批判が選挙戦では目立ちました。

 「大統領候補が金融政策を語ること自体はいい。だが『政治的な配慮で金融政策を決めている』といった発言は明らかな誤り。政権発足後どうなるかはわからないが、不確実性を高めている」

 ――共和党の議員からはFRBの金融政策への監視を強める内容の法案も出ていますね。

 「心配している。一番危ないのは、政策決定時に、インフレ率や需給動向から望ましい政策金利をはじく『テイラー・ルール』を参考にするよう求める法案だ。当局の手足を縛り、このルールに基づいて政策が決まるとの誤解を招きかねない」

(聞き手は編集委員 実哲也)

=随時掲載

 Narayana Kocherlakota 米ミネアポリス連銀総裁時代は金融引き締めに慎重なハト派として知られた。現在はロチェスター大教授を務める。53歳。



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