トランプ円安、見方二分 2017年相場を読む(中) 2017/1/6 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合面にある「トランプ円安、見方二分 2017年相場を読む(中) 」です。





 昨年11月の米大統領選以降、円相場は最大で17円余り下落した。円安は今年も続くのか。市場では1ドル=125円台に下落するとの見方がある一方、トランプ円安の終わりを指摘する声もあり、意見が割れている。

■125円台までは下落余地 ドイツ証券外国為替営業部長 大西知生氏

大西知生氏

――「トランプ相場」で2016年11月から急速な円安が進みました。

 「トランプ次期米大統領の積極財政による財政赤字拡大を意識した米金利上昇は17年も続く可能性が高い。米長期金利は17年中に3.6%まで上昇するとみる。日銀は長期金利をゼロ%程度に抑えるため、日米金利差が拡大して円安・ドル高が進むだろう」

 ――円安はどの程度まで進むでしょうか。

 「円相場の下落基調は強いが、1ドル=125円50銭近辺で歯止めがかかるとみている。03年以降は円相場が126円を下回っていないことが意識され、市場参加者も円買いを入れるだろう。一方で、16年に比べて上昇余地も限られる。チャート上のテクニカル分析では110円50銭近辺が円高の限界だ」

 ――16年末は株式相場も上昇しました。

 「日本株は17年も上昇する可能性が高い。株価が上がれば外国人投資家の日本株保有残高が増えるため、為替リスク回避の円売り・ドル買いが出て円安につながる」

 ――トランプ氏の税制は円相場にどう影響するでしょうか。

 「本国投資法(HIA)は米国の多国籍企業の利益・配当金や余剰資金を海外から米国に送る際に税負担を優遇する法律で、再び実施すれば大幅なドル高になる。ブッシュ政権下で05年限りの時限立法として実施した時は3000億ドルが米国に還流したとされる」

 「米連邦準備理事会(FRB)の利上げの影響もあったが、05年の円相場は1月の年間高値101円67銭から12月の年間安値121円40銭まで下落が続いた。トランプ政権でHIAを実施するとすれば18年以降になるが、法成立が17年中になれば先取りで円売り・ドル買いが進むだろう」

 ――円高が進む局面はありますか。

 「テロなどの突発的な事件や、中国や北朝鮮の軍事行動が起きた場合は円が買われるだろう」

(聞き手は藤井裕起)

■過剰なドル高は続かず みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏

唐鎌大輔氏

 ――2016年末にかけて急速な円安・ドル高が進みました。

 「ドル高の持続は春までがめどだ。トランプ政権誕生後の米経済指標が出始めるのは4~6月ごろ。ドル高による米経済への悪影響が確認される可能性が高い。米財務省が為替報告書を出すタイミングとも重なり、ドル高修正に動きやすい。そもそも足元のドル高は行きすぎで、ドルの自律反落は必然だろう」

 「製造業労働者の支持を受けて勝利したトランプ氏が輸出などに不利になるドル高を容認し続けることはできない。トランプ氏は(1)保護主義政策(2)再分配財政の強化(3)ドル安誘導――のいずれかを迫られるだろう。(1)は米国にも他国にも不利になり、(2)は実効性に疑問が残る。基軸通貨国の米国としては(3)が最も実施しやすい選択肢だ」

 「米大統領選後のドル高に最も寄与したのはメキシコペソと人民元。トランプ氏の名指し批判を受ける両通貨に対してドルが切り下げられれば、円相場も間接的に影響を受けそうだ」

 「市場がトランプ氏に注目するなかで、ポピュリズム(大衆迎合)政党の台頭など欧州の政治リスクもくすぶる。リスク回避が強まれば、年内に円は1ドル=100円近辺まで上昇しそうだ」

 ――米連邦準備理事会(FRB)は17年の利上げ見通しを2回から3回に引き上げました。

 「FRBは16年に4回の利上げ見通しを示したが、実際はたった1回だった。市場では利上げペースの加速を見込む向きもあるが、17年もせいぜい1回の利上げにとどまるだろう」

 ――日銀の金融政策はどうみていますか。

 「日銀の金融政策が量から金利に転換し、円相場にほぼ影響しなくなった。日銀にとってベストは現状維持だろう。ただ今後の政策余地を残すには『トランプ相場』が続く間にマイナス金利の撤回など出口戦略を考えることも得策といえる」

(聞き手は生田弦己)



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