トランプ外交、親イスラエルが火種 エルサレムに大使館移転検討 中東諸国の反発必至 2017/1/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「トランプ外交、親イスラエルが火種 エルサレムに大使館移転検討 中東諸国の反発必至」です。





 【ワシントン=吉野直也、リヤド=岐部秀光】トランプ米政権はイスラエルが「首都」とするエルサレムに米国大使館を移転する検討に入った。トランプ氏は選挙戦の最中から大使館移転を表明してきたが、国際社会はエルサレムをイスラエルの首都と認めていない。実施に踏み切ればアラブ民衆の激しい反発が起こり、中東情勢は制御不能の混乱に陥りかねない。

 トランプ氏は22日、イスラエルのネタニヤフ首相との電話協議で2月上旬のワシントン訪問を要請した。ネタニヤフ氏も受け入れたもようだ。大使館の移転問題も話し合われた可能性がある。

 トランプ氏はイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしている。駐イスラエル大使に親イスラエル派の弁護士フリードマン氏を指名した。娘婿で大統領上級顧問のクシュナー氏も親イスラエルの立場だ。

 イスラエルはエルサレムを「首都」とするが、パレスチナ自治政府も東エルサレムを将来の首都とみなす。帰属問題は未解決で、日米を含め各国はテルアビブに大使館など在外公館を置く。

 米メディアによると、トランプ政権は発足前から欧州やアラブ諸国の同盟国に米大使館のエルサレム移転計画を説明し始めた。

 米議会はエルサレムへの米大使館移転を求める法案をこれまで可決している。移転を凍結しているオバマ前大統領の大統領令が今春に失効するとされ、「5月にも移転が発表されるのではないか」との観測もある。

 米メディアは米大使館をエルサレムに移しても、設置場所によって意味合いは異なると報じる。

 西エルサレムなら、パレスチナ人がイスラエルに併合されたと認識する東エルサレムよりも衝撃は少ないとの見方だ。

 だが、中東情勢を大きく揺るがしかねない火種だ。アラブ諸国やイスラム諸国の指導者はトランプ氏に自制を求め、イスラエル国内ですら予測不能の事態を招くリスクへの警戒がある。「心温まる話し合いだった」。トランプ氏との電話協議を振り返るネタニヤフ氏の言動にも、問題の過熱を抑えたい思惑がにじむ。

 パレスチナ自治政府のアッバス議長はトランプ氏の大統領就任前に書簡を送り、大使館を移転しないよう要請。イスラエルとパレスチナの「2国家共存」という目標に向けたプロセスを「破壊しかねない」と訴えた。「越えてはならない一線」とも発言している。

 アラブ連盟のアブルゲイト事務局長は「移転はテロと過激主義と暴力をもたらす」と警告。イスラム協力機構(OIC)のオサイミーン事務局長は「移転は国際法や国連安全保障理事会決議に違反する」として、トランプ氏に自制を求めた。

 アハラム政治戦略研究所のアムル・シュバキ氏は「パレスチナの和平協議の息の根を止め、地域に地獄の門を開くだろう」と指摘する。過激派組織「イスラム国」(IS)などが混乱に乗じてテロ活動を活発にするリスクがあるため、欧州にも懸念が広がっている。

 ▼エルサレム ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地。イスラエルは1948年の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得、67年の第3次中東戦争で旧市街を含む東エルサレムを占領した。エルサレムを「恒久的首都」と宣言して政府機能を置くが、パレスチナ自治政府は今も多くのパレスチナ人が暮らす東エルサレムを将来の独立時の首都とし、争いが続く。 国際社会はエルサレムをイスラエルの首都と認めず、日本を含め各国は商都テルアビブに大使館を置く。米大使館もテルアビブにあるが、米議会は95年、親ユダヤ議員の主導でエルサレムに移す法律を制定。歴代米政権は「安全保障上の問題」として大統領の権限で実施を先送りしてきた。



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