トランプ氏が壊す秩序 2017/6/3 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「トランプ氏が壊す秩序」です。





 200近い国や地域が地球の未来を託したパリ協定。トランプ米大統領は30分足らずの声明で、世界の汗の結晶をあっさりとほごにした。

 「2040年までに3兆ドル近い国内総生産(GDP)と650万人の雇用が奪われる。不公平だ」。トランプ氏は米国第一の姿勢をむき出しにし「世界の笑い物にはもうならない」と宣言した。

 環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、北大西洋条約機構(NATO)の軽視、主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)での独善的な振る舞い。トランプ氏は国際協調の枠組みをないがしろにしつつある。

 米国は軍事・経済の両面で優位に立っているにもかかわらず、多国間の合意で不利な条件をのまされてきた。そのくびきから逃れ、国益を極大化したいというわけだ。

 だがテロとの戦いや経済ルールの調和、温暖化対策をはじめ、主要国の連携が必要な課題は確実に増えている。米国が内向き志向を強めれば、地球規模の問題解決能力が著しく低下しかねない。

 トルーマン元大統領が伝統的な孤立主義と決別し、自由や民主の守護者としての責任を担う決意を表明したのは1947年。それから70年間にわたり、米国は世界の安定に深く関与してきた。

 トランプ氏はその意思を欠いているようだ。「超大国としての米国の力が弱まる恐れもある」と米ハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授はいう。メルケル独首相は「他国(米国)に全面的に頼れる時代は去りつつある」とため息をつく。

 「トランプ氏の外交政策の最大の受益者はロシアと中国だ。米国はその代償を真っ先に払うことになる」。米外交問題評議会のリチャード・ハース会長は1日、ツイッターにこう書き込んだ。

 中国やロシアは既存の国際秩序を塗り替える隙をうかがう。強権的で抑圧的な「ペキン・コンセンサス」や「モスクワ・コンセンサス」がせり出してくるのでは危うい。

(ワシントン支局長 小竹洋之)



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