ネット×リアル小売り新局面(下) 客と接点、通販に呼び込む 20 17/8/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「ネット×リアル小売り新局面(下) 客と接点、通販に呼び込む」です。





 米アマゾン・ドット・コムが高級スーパー「ホールフーズ」の買収を発表した6月16日、米小売大手のウォルマートもある戦略を発表した。衣料品のネット販売で急成長しているベンチャー、ボノボスの買収だ。

米ボノボスのガイドショップは試着用で、商品は宅配する

自己否定の買収

 ボノボスはネット専業だが、街中に「ガイドショップ」と呼ぶショールームも持つ。客が試着して気に入れば店内のタブレット端末で注文し商品は後日、自宅に届く。店では売らないため在庫が不要。レジ担当など人件費も抑えられる。

 「店で売らない」ことは実店舗の販売で成長してきたウォルマートにとって自己否定にもつながりかねないビジネスモデルだが、ネットの浸透は実店舗のあり方に変化を迫る。

 ホームセンター大手のカインズが4月に開業した広島LECT店(広島市)。目玉は同社最大級の「店内工房」で、運営は工具ネット通販の大都(大阪市)の力を借りた。大都は溶接や木工などを体験できる店を持つが「実際に商品を売るのはあくまでネット」(山田岳人社長)。利用経験がある30代男性は「店で試せるので不安がなく、家まで持ち帰る必要もないので便利」と話す。

 わざわざ売り上げを生まない場所を設けたのは「もはや面積当たりの売上高など旧来の指標だけを競っても仕方がない」(カインズの関係者)と考えたため。国内ネット通販市場は約15兆円まで拡大し、容赦なくリアルを侵食する。ネット時代の店舗の役割とは何か。カインズの土屋裕雅社長は「店は顧客とつながる場所になる必要がある」と強調する。

 ネットは店舗を設ける「期間」の概念にも変化を促す。

 フランスの高級調理器具、ル・クルーゼジャポン(東京・港)は「ポップアップストア」に力を入れる。必要な時に必要な場所にだけ設ける店舗だ。4月には潜在顧客が多そうな場所を選び、東京・六本木に10カ月間だけの店を設けた。

店頭と主従逆転

 期間限定では売上高を継続的に伸ばせないが、消費者に効率的にアピールできる。同社ではネット経由の販売比率が5年前の2倍にあたる10%まで拡大。「小売店だけに頼らずに済むようになりつつある」(モニカ・ピント最高経営責任者)なか、効果的に売り上げを伸ばす手法を探る。

 ポップアップストアは米国で年9兆円の売り上げを生んでいるとの調査もある。実店舗とネットの主従関係をいったん逆転させるような発想が効果を生む。

 ネットのフリーマーケット事業で急成長してきたメルカリも1カ月間限定の「メルカリ・カフェ」を東京・原宿に開いた。店内で社員がアプリの使い方を教え、出品や購入を体験してもらう。利用者が3500万人を超えたメルカリがさらに成長するには、まだネットの外にいる消費者を引き寄せる必要がある。

 リアルがネットへの対応策を探り、ネットはリアルを新しい方法で活用する。融合が加速する現場で、お互いの強みを使いこなす知恵比べが進んでいる。

 中西豊紀、小高航、中山修志、平野麻理子、原島大介、早川麗、篤田聡志、中川雅之が担当しました。



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