ノーベル経済学賞セイラー氏 政策や企業活動に応用例経済学に心理学 反映/「人間、合理的でない」 2017/10/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「ノーベル経済学賞セイラー氏 政策や企業活動に応用例経済学に心理学反映/「人間、合理的でない」」です。





 2017年のノーベル経済学賞は米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授(72)に決まった。授賞理由は、心理学を反映させた「行動経済学」の発展に貢献したこと。セイラー氏の理論は政策決定や企業活動に応用され始めている。

セイラー氏=ロイター

 「賞金はできるだけ非合理的に使おうと思う」。セイラー氏は9日、受賞決定後の電話会見でこう話して笑いを誘った。従来の経済学は、人間は合理的に行動するという前提に立つが、セイラー氏は「人間は合理的ではない」ことを前提に、人々に「ナッジ(小さな誘導)」を与えることで、より良い社会をつくる理論を組み立てた。

 ナッジは英語で「相手を肘で軽くつつく」という意味だ。セイラー氏は個々人の選択の判断は尊重した上で、人々に提示する選択肢を工夫すること(=ナッジ)を考えた。実際、現実の経済活動にも応用されて効果を発揮している。

 例えば米国で企業年金の加入者を増やすため、セイラー氏は目先の手続きをためらう人間の特性に着目。自動加入でかつ自由に解約できる形などにすることで、利用者や年金貯蓄額を大幅に増やした。

 英国でも10年に当時のキャメロン首相が、セイラー氏に協力を求めて「ナッジ・チーム」を発足。税金の滞納者に「英国の納税者のほとんどが税金を期限内に払っています」といった手紙を添えることで納税率が改善し、23日間の実験で900万ポンド(約13億円)の税収増になったという。

 日本でも東日本大震災後の節電対策として、電力会社が各家庭に「あなたの居住地で同じ家族構成だと、節電で電気代がこれだけ減った」といった文書を送る手法がとられた。大和総研の鈴木裕主任研究員は「人々が身近な事例に反応しやすいという心理学の傾向を用いた手法で、ナッジの考え方が基になっている」と話す。環境省も今年4月、温暖化ガスの排出削減にナッジを用いる試験事業を始めた。

 9日の電話会見で、自らの研究で最も重要な点は何かと聞かれたセイラー氏は、「経済の主体は人間。経済モデルはそれを取り入れなければならない」と答えた。また著作の中で、研究の3原則を「観察する」「データを集める」「主張する」と記した。人の心の動きを見つめ続けたセイラー氏の研究姿勢は、経済学者だけでなく、政治家や官僚、企業経営者らにも参考になりそうだ。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です