パート時給上げ、思わぬ人手不足「年収の壁」自ら働く時間減 営 業時間短縮も 2017/11/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「パート時給上げ、思わぬ人手不足「年収の壁」自ら働く時間減 営業時間短縮も」です。





 パート社員の時給増が流通や外食業界の人手不足に拍車をかけている。税や社会保険料の負担で優遇される目安の103万円や106万円といった「年収の壁」に届きやすくなり、働く時間を減らす人が増えているためだ。働き方改革で正社員の残業による穴埋めも難しくなり、営業時間見直しを迫られる店も出てきた。

 「この2年で時給が100円くらい上がった。以前は月に17、18日働けたが今は14日くらい」。横浜市のスーパーで働く女性(55)は話す。時給は980円。同じ店で12年働くベテランだが夕方や夜間など人手が足りない時間のシフトに入れない。時給が上乗せされれば社会保険料で自己負担が生じる年収106万円を超えてしまうためだ。

 1年の前半に働き過ぎ年末にかけて週4日の勤務を3日にした同僚もいる。職場は人材派遣を利用しながら何とか業務を回している。

 厚生労働省の統計によると、卸売・小売業で働くパート社員の時給は2017年1月から1000円前後で推移する。2年前から4%ほど高い。一方、17年平均の月間労働時間は92時間で2年前から3%減っている。

 時給が1000円の場合、週4回、1回5時間程度の勤務で、世帯主の配偶者控除(特別控除)が減り所得税の負担が重くなる年収103万円を超える。「年末にボーナスを出すと、辞退する人さえいる」(大手スーパー)

 時給を上げない待遇改善で、労働時間を確保する動きも出始めた。オリックスはパート社員向け退職金制度の導入を企業に働きかける。

 同社の「選択制確定給付企業年金」はパート従業員が報酬の一部を任意に積み立て、退職時に企業の負担分を加算した金額を受け取る仕組み。月々の収入を減らして年間の労働時間を増やせる。

 ドトールコーヒーが9月に導入し、ビアホール運営のキリンシティ(東京・中野)も近く取り入れる。オリックスの三宅規文課長は「問い合わせが多い」と話す。

 パート社員による勤務調整は以前からあった。ただ今年は時給増に加え、多くの企業が働き方改革に取り組んでおり「正社員のサービス残業で店を回しにくくなった」(中堅スーパー)。企業は高コストを覚悟して高い賃金でパートや派遣労働者の数を増やすか営業時間を見直すかという選択を迫られている。

 阪神地域で7店を持つ地場スーパーのアカシヤ(大阪市)は原則毎日だった営業日を見直し今年8月末、日曜を全店定休日にした。店舗の求人サイトでは「日曜休みで主婦さんも働きやすい」などとうたう。

 配偶者控除が減額する基準は2018年、103万円から150万円に引き上げられる。ただ配偶者がいる社員に「配偶者手当」や「家族手当」を支給する企業では、条件を配偶者控除に合わせて103万円以下としていることが多い。社会保険料の自己負担基準となる106万円や130万円の「壁」を意識するパート社員も少なくない。時給増がパート社員の勤務時間を抑制する状況はすぐには解消しなさそうだ。



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