ヒットのクスリ スノーピーク 共感集め成長 2018/07/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「ヒットのクスリ スノーピーク 共感集め成長」です。





キャンプ用品大手で、東証1部に上場しているスノーピーク。新潟県三条市にある本社そのものが広大なキャンプ場で、2月の内定者研修も雪中キャンプとこだわる。キャンプ人口が増えていないのにスノーピークが成長してきたのはなぜか。それは山井太社長が若い頃に経験した孤独と不安に根ざしている。

(画像:サントリー食品インターナショナルはスノーピークの理念に共鳴した(4月の無糖炭酸水の発表会))

山井社長が上京したのは1970年代後半。大学生活、社会人と数年間を東京で過ごしたが「とにかくなじめない。通勤途上の新宿の地下通路が不気味で不気味で。日本が豊かになるには何かが足りない」。新潟の実家に戻り、考えたのが都市生活者の癒やし。「アウトドア市場は国・地域の平均年収が1万5千ドルを超えると生まれ、2万ドルで一気に成長する」と見て今の事業を育てた。

近年はキャンプに行かない人も視野に入れ、「人間性回復」をテーマとしたビジネスを展開する。アウトドアを切り口としたオフィスやマンションづくり、アパレル、街づくりなどだ。サントリー食品インターナショナルは山井社長に共鳴し、共同で炭酸水を4月に売り出した。まさに人間性回復という「コト」が「モノ」を動かす。

仮に山井社長が東京になじんでいたら、こうした発想は浮かばない。多くの人は新しい環境になじめないし、不安だ。だからこそ、スノーピークは共感を集めた。モノと情報があふれる今、日々不安な個々人の心理に踏み込むことでマーケットが創造できる。

「結果にコミットする」で成長を遂げたRIZAPグループもその一つ。「豊かになるほど悩みは深くなる。どう生きるのかという自己実現のマーケットはプライスレスで、市場規模は無限」と瀬戸健社長は言い切る。

実は瀬戸社長自身も「人よりできない」ことがビジネスの起点になっている。勉強と読書が苦手な人は多いが、瀬戸社長の場合、実に極端。本屋に入るのもおっくうで、本を買っても目次で寝てしまう始末。普通にできる人にとってなんてことのない行為だが、だからこそ「できることから始める」を真剣に突き詰めた。これが「人は変われる」を掲げるRIZAPにつながる。

劣等生が大成功すると言いたいわけではない。付加価値や品ぞろえなど上乗せ型の発想だけではヒットは生まれにくい。市場を創る「気づき」をつかむにはできる人ばかりではなく、悩み多き社員の弱さも必要だ。

日本テレビの深夜番組で街行く人々のスマートフォンの検索履歴を見せてもらうというシーンがあった。検索ランキングは調べれば分かるが、検索履歴は聞かないと出てこない。ネタの宝庫の予感がした。

(編集委員 中村直文)



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