ビジネスTODAY 孫氏「死ぬまで事業家」10兆円ファンドで「 次の本業」探し 2017/7/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「ビジネスTODAY 孫氏「死ぬまで事業家」10兆円ファンドで「次の本業」探し」です。





 ソフトバンクグループがサウジアラビアと共同で発足させた10兆円規模の投資ファンドが、世界のIT(情報技術)ベンチャーを揺さぶっている。発足から2カ月余り。ファンドは沈黙を通しているが、投資先だと判明した企業は無名の米ベンチャーばかり。つぶさに見れば孫正義会長兼社長の狙いが透けてくる。

孫氏はベンチャー投資でIoTを強化(28日、都内で開いた人材イベント)

 28日、都内で開いた「孫正義育英財団」の式典。孫氏は支援する45人の若者を励まし終始、上機嫌だった。ただ報道陣から10兆円ファンドについて問われると鋭い目つきで答えた。「僕は死ぬまで事業家だ」

 世界中のベンチャーキャピタルの年間運用額をしのぐ巨大ファンドを手にしたが、それでも事業家にこだわる。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏と比較されることもある。だが、孫氏は28日も「バフェット氏は尊敬するが、僕は僕の努力をやっていく」と語った。

 その真意はファンド発足から2カ月余りの動きを追えば浮かぶ。10兆円の投資先について、ファンド側からの情報発信はない。投資を受けた米2社が開示しただけで、他はソフトバンクへの取材で明らかになった。

 「最近は目覚めた時、自分が世界のどこにいるのかを思わず確認してしまう」。孫氏は投資先を求めて世界中をプライベートジェットで飛び回る。滞在先として圧倒的に多いのはシリコンバレーなど米西海岸だ。

 がん検査のガーダント・ヘルス、農業のプレンティ、ロボット関連のブレイン・コープ――。孫氏が10兆円の使い道に選んだ企業の多くが、米西海岸の無名のベンチャーだ。ソフトバンクの本業である携帯や通信とはほど遠い事業を手掛ける。

 そもそも孫氏は「ソフトバンクは通信会社ではなく情報革命屋さん」と話す。時代とともに移ろう情報産業の主役に本業を乗り換え続けて来た。1981年にソフトウエアの流通から始め90年代にインターネットに参入。2001年にブロードバンドで通信に参入した。06年に携帯に進出し、これまでに少なくとも3度、本業を変えてきた。

 そこで欠かせない手段が投資だった。95年に無名だった米ヤフーに出資し、06年には英ボーダフォン日本法人を買収して携帯を始めた。

 孫氏はあらゆるモノがネットとつながるIoTが次の主役だと考える。その原動力となるのがAIの進化。IoT時代に人類と共存するのが、AIを備えたスマートロボットだ――。こんな未来図を描く。

 投資先の事業はバラバラに見えるが、孫氏の頭の中では3つの単語でつながる。その対象領域はかつてなく広い。そこで巨大ファンドを手に新たな事業のタネを探ろうというのが孫氏の考えだ。

 10兆円ファンドを連結対象に組み入れる背水の陣を敷いた。「僕にとって大きな挑戦」と言う4度目の本業換えに乗りだした。

(杉本貴司、大西綾)



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