ビジネスTODAY 空き家3割時代 LIXILやVB、主役狙う 2033年予測 中古住宅、価格評価に課題 2016/06/08 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業総合面にある「ビジネスTODAY 空き家3割時代 LIXILやVB、主役狙う 2033年予測 中古住宅、価格評価に課題」です。





 日本の住宅ビジネスが転機を迎えている。きっかけは空き家の増加だ。野村総合研究所は7日、空き家比率が2033年に今の2倍強の30%に増えると発表。新築市場が縮むなか、LIXILなど住宅設備大手やベンチャーが住宅市場の新たな主役の座を狙い始めた。

積水ハウスがリフォームした中古住宅

 野村総研によると、全住宅の13.5%を占める空き家の比率が今のままでは33年に30.4%に達する。住宅を買う際に新築ではなく中古を選ぶ世帯は、15年の29%から30年は48%に増える。主任コンサルタントの大道亮氏は「住宅が長持ちするようになり、中古を買って自分好みに改修する人が増えた」とみる。

 中古住宅の流通量はすでに増加している。15年は10年比37%増の26万戸になった。住宅市場が新築から中古へとシフトすれば、住宅大手以外の事業機会が広がる。最有力なのは住設大手だ。

 「リフォームは大きな仕事になる」。LIXILの瀬戸欣哉社長は今後の成長へ向けたけん引役として、空き家などのリフォームを掲げた。4月末に東京都内で開いた「リフォームフェア」は、来場者が当初目標を2割上回った。1日で交換できるドアや簡単に取り付けられる窓、浴室といった独自の製品を組み合わせた総力戦でのぞむ。

 東京急行電鉄は今年3月、住宅改修ベンチャーのリノベる(東京・渋谷)に出資した。両社が組んで、人が住まなくなった中古マンション1棟をまるごと買い取り、改修して販売する。東急沿線を中心に事業を拡大する。

 攻め込まれる住宅大手も中古に目を向けている。積水ハウスは今春、中古マンションの大規模改装事業を立ち上げた。著名なデザイナーが内装を監修する。「相続した実家をどうすればいいでしょうか」。ミサワホームが昨年開設した中古住宅の活用を指南する窓口には、ひっきりなしに電話がかかる。建て替えのほかリフォーム後の売却、賃貸を提案している。

 新設住宅着工戸数は15年度の92万戸から30年度には54万戸に減る見込み。中古は新築よりも安く利益率が平均30~40%低いが、背に腹は代えられない。ミサワの竹中宣雄社長は「新築市場は確実に縮む。事業構造を大きく転換させないと生き残れない」と述べる。

 空き家対策には政府も力を入れる。リフォームの補助金を設け、倒壊の危険が高い空き家を固定資産税の優遇対象外にして活用を促す。ただ中古住宅の流通比率が70~80%程度の欧米に比べると日本は遅れが目立つ。野村総研は戸建ての価格を築20~25年でゼロと査定する評価システムや、中古住宅のローンが新築よりも不十分な点などが足かせになると指摘する。

 これまで空き家が増えてきたにもかかわらず、住宅大手は新築をつくり続け、買い手も新築志向が強かった。日本でもっと空き家が増えれば、景観だけでなく防災や治安面でも大きな問題を引き起こしかねない。開花し始めた空き家ビジネスを軌道に乗せるには官民のさらなる知恵も必要だ。

(大林広樹、小川知世)



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