フィリピン人、出稼ぎ鈍化 昨年の外貨送金、伸び低水準 雇用拡大で国内回帰背景 2016/02/17 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「フィリピン人、出稼ぎ鈍化 昨年の外貨送金、伸び低水準 雇用拡大で国内回帰背景」です。





 【マニラ=佐竹実】海外で働くフィリピン人の同国への外貨送金額の伸び悩みが鮮明になってきた。2015年の前年比増加率は14年ぶりの低水準に落ち込む見通しになった。フィリピンの経済成長率は新興国のなかでも比較的高く、労働者が国内に回帰していることが背景にある。英語が堪能なフィリピン人は世界中で働き、外貨送金が国内の消費や成長を支えてきたが、その経済構造が変わりつつある。

外貨送金がフィリピンの個人消費を支えてきた(1月、マニラの商業施設)

 フィリピン中央銀行によると、15年1~11月の同国への外貨送金額(銀行経由)は前年同期比3.6%増の228億ドル(約2兆6千億円)だった。ここ数年、外貨送金は年に6%程度成長していたが、通年の伸び率は01年以来の低さになる見込みで、鈍化が明らかだ。

 フィリピンからはこれまで多くの国民が海外に渡って働き、母国の家族に送金してきた。永住者も含めるとフィリピンの人口の1割に相当する1千万人が米国や中東など母国の外で暮らしているという。

 こうした出稼ぎ者による外貨送金で個人消費が活発になり、フィリピンの実質成長率は年率6%の水準に達した。

 フィリピン海外雇用庁によると、14年に出稼ぎのため出国した国民は183万2668人で、過去最多だった前年よりも約3600人減った。一方、フィリピンではコールセンターなど業務委託産業が拡大し、100万人を超える雇用を生み出した。ほかのサービス産業も活発で、国内で職に就く若者が増えている。比政府は雇用の裾野が広い自動車産業などの製造業育成にも力を入れる。

 09年からサウジアラビアで運転手をしていたロナルド・クルーズさん(46)は15年、フィリピンに帰国した。母国でもタクシーの運転手として十分に稼げると判断したためだ。現在の月収はサウジ時代の5万5千円前後を上回る。「家族と暮らせてうれしい。中東にはもう戻らない」と話す。

 外貨送金は国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費に直結するので、伸び悩めば消費の勢いをそぎかねない。エネルギーなどを輸入に頼るフィリピンの貿易赤字は年100億ドル規模に達するが、受け取る外貨送金が200億ドル規模なので、経常収支は黒字が続いている。

 自国通貨買いの需要も鈍れば、フィリピンの通貨ペソが下落しやすくなる側面もある。

 それでも近い将来、出稼ぎが大きく減るとは考えにくい。

 フィリピンの人口は年率2%前後のペースで増えており、国内の労働市場ですべてを吸収するのは難しい。日本郵船がフィリピンに商船大学を設立して乗組員を確保しているように、英語が堪能な人材の引き合いは世界各地で強い。



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