フィリピン大統領、対中協議「仲裁判決が基礎」 米国務長官と会談 2016/07/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「フィリピン大統領、対中協議「仲裁判決が基礎」 米国務長官と会談」です。





 【マニラ=佐竹実】フィリピンのドゥテルテ大統領は27日、マニラのマラカニアン宮殿(大統領府)でケリー米国務長官と会談した。南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶとする中国の主張を否定したオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決について、中国との2国間協議の際の前提にする考えを伝えた。フィリピン国内への米軍の実質的な駐留を可能にした新軍事協定を履行し、軍事的な協力を深めることも確認した。

ケリー米国務長官(左)を出迎えるドゥテルテ大統領(27日、首都マニラ)=フィリピン大統領府提供

 6月末に就任したドゥテルテ氏が米閣僚と会談するのは初めて。両者はマラカニアン宮殿で昼食を取りながら会談した。アベリア大統領報道官によると、ドゥテルテ氏は、「いかなる協議をする際にも、仲裁裁判の判決が基礎になる」と述べた。中国との2国間協議による紛争の解決を目指すフィリピンは、全面的に勝利した判決を後ろ盾にする考えだ。

 米比両国は2014年、「拡大防衛協力協定」を締結した。これにより、米軍はフィリピン軍の基地を使用できるようになり、25年ぶりに実質的に再駐留する。米国にとっては、南シナ海に近いパラワン島の基地などに兵力を配備することで、軍事化を進める中国をけん制する狙いがある。

 ドゥテルテ政権は、米国との同盟を維持する一方で、中国を過度には刺激せず、交渉により利を引き出す考えだ。ラモス元大統領を特使として中国に派遣する構想もある。

 だが中国は2国間協議に際して判決の棚上げを主張しており、交渉がうまく進むかどうかは不透明だ。これについてアベリア報道官は「対話は前向きに進む」と述べた。

 ケリー氏は同日、ヤサイ外相とも会談した。記者会見でケリー氏は、「法の支配を強く支持する。仲裁裁判の判決は法的拘束力を持つ」と述べ、判決に従わないとする中国をけん制した。ラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の共同声明が仲裁裁判の判決に言及しなかったことに関して、「法の支配を尊重すると明記しており、満足している」と評価した。

 ヤサイ外相も共同声明を評価した上で、「ASEANの勝利だ」と述べた。共同声明から中国批判を取り除くようカンボジアなどに工作を続けた中国を念頭に置いた発言だ。ヤサイ外相はラオスでの会議の際、声明に仲裁裁判の判決を盛り込むよう強く主張したことも明らかにした。

 外交経験が少ないヤサイ外相は発言にブレが目立つが、ドゥテルテ大統領が指摘したように、判決を後ろ盾に中国と2国間交渉をして紛争の解決を目指すのが基本的なスタンスだ。同日の会見では「中国とフィリピンは、判決を平和的に履行するために前に進むことを望んでいる」と述べた。



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