フィリピン新政権始動 沿岸警戒へ海軍増強 中国に一定の配慮、資金力に期待 2016/07/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「フィリピン新政権始動 沿岸警戒へ海軍増強 中国に一定の配慮、資金力に期待」です。





 【マニラ=佐竹実】フィリピンのドゥテルテ大統領が30日に就任し、6年間の政権運営が始まった。南シナ海での中国の主権主張に関する仲裁裁判の結果が近づく中、米国や日本との同盟を重視したアキノ前政権の方針を基本的に引き継ぐ。沿岸警戒力を上げるため海軍力も増強する。ただ、インフラ開発を巡って中国の資金力に頼る選択肢も捨てておらず、大国のはざまで外交的バランス感覚が求められている。(1面参照)

 「フィリピンは、国際的な協定や条約、取り決めなどを尊重する」。30日に首都マニラのマラカニアン宮殿(大統領府)で開かれた宣誓式で、ドゥテルテ大統領はこう述べた。選挙期間中は自身の発言を批判した米国大使に対して断交すらちらつかせる暴言で注目されたが、当選後は態度を一変。宣誓の言葉では穏当な言い回しを多用した。

 フィリピンの大統領は任期6年で再選が禁じられているため、これまでは大統領の交代で政策の一貫性が失われる場合が多かった。だがドゥテルテ氏は周囲の予想に反し、経済・外交の分野でおおむね前政権の路線を引き継ぐと表明。外交では、「我々は西側諸国の同盟」と語った。

 南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶとする中国の主張に法的根拠がないとしてフィリピンが提訴した仲裁裁判の判決は7月12日に出る。ドゥテルテ氏は「判決の内容を見極め、声明を出したい」と、言葉を慎重に選んだ。

 ロレンザーナ国防相は就任前に日本経済新聞の取材に応じ、「軍事力の近代化を進めた前政権の路線を引き継ぎ、(南シナ海の)領有権を守るために海軍の人員や装備を増強したい」と話した。新軍事協定に基づき米軍の実質的な駐留が25年ぶりに始まることについては、「米国とは長年の同盟で、安全保障の観点からも我々は米国が必要だ。協定により、米国の多くの技術を学べることが利点だ」と指摘した。

 もっとも、ドゥテルテ氏は中国の資金力でインフラ開発をする選択肢を捨てていないとされる。30日に開かれた初閣議でも、「仲裁裁判で我々に有利な判決が出ても、国際社会に見せびらかすようなことはしない。軟着陸を図る」と、中国を過度に刺激しないよう配慮する考えを示した。

 中国も経済面でフィリピンを取り込もうと鉄道建設をドゥテルテ氏に打診している。ドゥテルテ政権は米国や中国との関係を保ちながら、フィリピンの利を引き出したい考えとみられる。だが、中国との対決姿勢を鮮明にしていたアキノ前政権との比較で、国際社会からは「中国寄り」との評価につながりかねない。



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